メモ:選手宣誓とナチス式敬礼

面白い。「なぜフェンスが建てられたのかわかるまで、決してフェンスをとりはずしてはならない」の原則にしたがって検討した上で、止めるのかやめないのかを決めたら良い。

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上のブログや「どうして選手宣誓のときに右手を挙げるのですか?」では、ナチスドイツの国威発揚に利用された1936年のベルリンオリンピック由来なので、選手宣誓時の右手をあげる仕草はナチス式敬礼由来なので辞めようと提案されている。

一方、こちらのエントリーだと選手宣誓が復活した1920年のアントワープオリンピックの時点で右手を上げているとのこと。
chbbplus.hateblo.jp

ナチス式敬礼の由来はローマ式敬礼で、ローマ式敬礼は多分あの時代の地中海世界における儀式由来と予想されるので、同一起源のものが別々の経路で採用された可能性が十分ある。

ベルリンオリンピックの前から、日本で右手を上げる姿勢で選手宣誓が行われていることがわかれば、何由来なのかはっきりするわけなのだけど、以下の文献によると選手宣誓自体は1924年の明治神宮体育大会ですでに採用され、行われていたとのこと。
ci.nii.ac.jp

この紀要論文の著者らが属している聖母女学院の図書館には明治神宮体育大会報告書と写真帳が第1回から第13回大会まで保管されているとのことなので、この写真帳にある選手宣誓時の写真をみればベルリンオリンピック前に右手を上げたスタイルの選手宣誓が日本で行われていたのかどうかがわかる。

ちゃんと由来を明らかにした上で、国際的慣例と日本での伝統を勘案して続けるか止めるか検討したら良いと思う。