メモ:共謀罪とFATFの日本への勧告への対応

以下のツイートを見かけた。


上のツイートで挙げられているPDFは2014年のもの

以下の記事で指摘されている話。
www.sankei.com

ここで懸念事項となっているもののうち通称「パレルモ条約」への批准を除いてはすでに法律が成立している。今回の「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法はマネーロンダリング話とは関係ない(はず)。
business.bengo4.com

我が国も、前述のFATF勧告に対応すべく国内法制を整備してきたものの、2008年に行われた第3次対日相互審査では多くの指摘がなされていたところであり、2014年6月には指摘事項に早急に対処すべき旨のFATFによる声明が公表される事態となった 。

この事態を受けて、同年9月から開かれた臨時国会では、改正犯罪収益移転防止法1 、改正テロ資金提供処罰法 2、国際テロリスト財産凍結法3がそれぞれ成立し、国内におけるAML/CFT関連法の整備が進展することとなった 。同年10月に行われたFATF会合では、かかる状況を評価する旨の声明が出されている。

パレルモ条約への批准に関しては、日弁連が現状でも批准できると述べている。

条約の批准について

  • 国連が条約の批准の適否を審査するわけではありません。
  • 条約の批准とは、条約締結国となる旨の主権国家の一方的な意思の表明であって、条約の批准にあたって国連による審査という手続は存在しません。
  • 国連越境組織犯罪防止条約の実施のために、同条約第32条に基づいて設置された締約国会議の目的は、国際協力、情報交換、地域機関・非政府組織との協力、実施状況 の定期的検討、条約実施の改善のための勧告に限定されていて(同条第3項)、批准の適否の審査などの権能は当然もっていません。

少なくとも2014年2月のFATFの勧告についてはパレルモ条約への批准を除いては、今回の「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰と関係ないのではないかと思う。

なお、私は以下の本を読んだこと、および、Session 22でたびたび取り上げられた国会での質疑の音声を聞いて、もうちょっとまともに議論しろよと感じているので反対の立場。