面白いし勉強になるし、イラつく面もある。
技術というと、イメージがわきにくいと思います。そこについてご説明しましょう。技術というのは、研究とは異なっています。研究者というのは、特定の領域に秀でて、未知の真理を追究していくものです。それに対して、技術者は物理、化学、生物などの基礎科学知識を総動員して、新しい発明を行う人々のことをいいます。
万有引力を発見したニュートンは研究者で、電球を発明したエジソンは技術者と言ったら分かりやすいでしょうか。研究者が発見したものを用いて、技術者が発明していくのです。
研究者が発見したタネを商品化するためには、技術者が知識や経験をフルに活用する必要があります。東レにおいても、生産技術や生産管理などの分野で技術者は欠かすことができません。そうした技術者を育てなければなりませんが、私の会社を見ていても、大学教育においても、大学院教育においても、そこの教育がないがしろにされているように思えてなりません。
モノ作りをするうえでは、研究だけではどうにもならないのです。生活の中のニーズを汲み取って、大量生産可能な商品にするプロセスを作り上げていく。そうして人間社会に貢献していくためには、技術が必須なのです。日本は生産技術や生産管理のレベルが高くて尊敬されてきました。その技術が落ちてきているとしたら大変なことなのです。
以下、現在までの掲載記事(閲覧にはユーザー登録が必要)
- NBOnline:「東大生の電気電子離れ加速、企業の求む人材と乖離」〜さらば工学部(2)
- NBOnline:「『教育の金沢工大』は“褒め殺し”。教育改革に一切気は抜けない」〜さらば工学部(3)
- NBOnline:「存続できず、廃部に追い込まれた工学部」〜さらば工学部(4)
- NBOnline:「溶接の総本山・阪大の異変」〜さらば工学部(5)
- NBOnline:「文系理系の生涯賃金格差は5000万円」〜さらば工学部(6)
- NBOnline:「京大工学生はゆとり世代から学力低下」〜さらば工学部(7)
- NBOnline:「東京にあっても私学は厳しく、危機感は強い」〜さらば工学部(8)
- NBOnline:「経済状態の厳しい地方にこそ公立大学は馴染む」〜さらば工学部(9)
- NBOnline:「『日本は智力繁栄しかない』の意味を噛み締めよ」〜さらば工学部(10)