「検査抑制派」の意見

いわゆる「検査抑制派」の意見。私は妥当だと思うし、「検査拡大派」の日医会COVID-19有識者会議の意見と矛盾しないと思う。

www.newsweekjapan.jp

日本では、本来は患者の検体を扱えるのは臨床検査技師など国家資格を持った人だけだ。重要なのはいかに精度の高い検査をできるかということ。"
【独占】押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスクとの向き合い方 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトより)

については、日医会COVID-19有識者会議でも精度をあげれば特異度を100%に近づけられると述べている。

PCR検査の場合、輸血製剤におけるHCV-RNA、HIV-RNAスクリーニングのごとく、特異的なプライマー設計に加えて、汚染による偽陽性を回避するなど、技術的に特異度を十分に高めることができる9)。このため、PCR検査の運用においては、検査目的に合致した検査の設計と性能評価(妥当性確認)、およびそれに基づく内部精度管理、さらには外部精度評価による検査室の能力モニタリングによる継続的な精度の確保と維持が重要となる。
「COVID-19感染対策におけるPCR検査実態調査と利用推進タスクフォース」中間報告書解説版「PCR検査の利用の手引き:保険適用の行政検査を中心に」より)

つまり、精度が重要ということ。逆に言うと、現状はまだそうなっていないともいえる。

また当初は陽性の人たちは軽症であっても法律上、限られた病床で隔離する必要があった。すると、入院調整をする保健所と医療現場に一気に負荷がかかる。
【独占】押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスクとの向き合い方 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトより)

についても、、日医会COVID-19有識者会議でPCR検査が拡充しなかった制度的な問題と指摘されていた。と思ったけど読み返したら言っていなかった。これは5月の連休ぐらいのときに検討対象になっていたような気がする。Googleで検索したら3月1日に厚生労働省が通達を出していた。

4.医療提供体制(入院医療提供体制)
(2)状況の進展に応じて講じていくべき施策
<入院医療体制>
〇地域での感染拡大により、入院を要する患者が増大し、重症者や重症化するおそれが高い者に対する入院医療の提供に支障をきたすと判断される場合、次のような体制整備を図る。

①感染症指定医療機関に限らず、一般の医療機関においても、一般病床も含め、一定の感染予防策を講じた上で、必要な病床を確保する。感染症病床以外の病床へ入院させる際の感染予防対策としては、個室又は新型コロナウイルス感染症の診断が確定している患者においては同一の病室へ入院させること、入院患者が使用するトイレはポータブルトイレ等を使用すること等により、他の患者等と空間的な分離を行うこととする。

②高齢者や基礎疾患を有する方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方、妊産婦以外の者で、症状がない又は医学的に症状が軽い方には、PCR等検査陽性であっても、自宅での安静・療養を原則とする。このとき、自宅療養中に状態が変化した場合には、必ず帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医に連絡するよう患者に伝えるなど、重症化に備えた連絡体制を徹底する。なお、自宅療養中の家族内感染を防止する趣旨から、家庭での感染対策について周知する(参考参照)とともに、家族構成(高齢者や基礎疾患を有する者等と同居しているか)等を確認した上で、高齢者や基礎疾患を有する者等への家族内感染のおそれがある場合には、入院措置を行うものとする。

(注:赤字強調はnext49。地域で新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合の各対策(サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制)の移行について(PDF)より)

これはあまり一般に理解されていないが、偽陽性であれば彼らの基本的人権が不必要に侵害されることになる。
【独占】押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスクとの向き合い方 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトより)

については、現在進行形で感染者の個人情報を特定できるようなレベルで公開することで人権侵害が進行中だと思う。たとえば以下の記事。
www.huffingtonpost.jp


「現在の状況の下では~の対策は有効だ/適切だ」という主張が「~の対策は有効/適切だから、現在の状況を変える必要がない」という主張に利用される/受け取られるので、「検査抑制派」VS「検査拡大派」みたいな話になるのだと理解している。

「一定期間後に希望者が医療機関の判断の下でPCR検査を保険適用で受けられる体制をつくる」という主張には多くの人は「異議なし」といってくれると思う。もめる点は「医療機関の判断の下で」ぐらいだと思う。