COVID-19対策に伴う留学生へのビザ発給停止に関する提言

はじめに

2020年3月9日から中国および韓国人に対するビザの発給停止および発給済みビザの無効化か行われた。中国人は日本の入国にビザが必要なので早くとも3月末日までは日本に入国できない。

本件措置の中には,以下のとおり査証の制限等の措置が含まれています。これらの措置は,3月9日午前0時から運用が開始され,3月末日までの間,実施します(この期間は更新され得ます。)。
(1)中国及び韓国に所在する日本国大使館又は総領事館で発給された一次・数次査証の効力の停止
(2)香港及びマカオ並びに韓国に対する査証免除措置の停止

本件措置により,以下の方は3月9日午前0時以降,日本に入国できなくなります。
(1)中国及び韓国に所在する日本国大使館又は総領事館で発給された一次・数次査証に基づき日本へ入国しようとする方
(2)香港,マカオ及び韓国の旅券保持者で日本の査証を取得せずに日本へ入国しようとする方
新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の抜本的強化:査証の制限等について|外務省より)

この結果、うちの大学院に入学が決まっている中国人留学生が日本に入国できず、合格手続きができない事態が発生している。また、3月末日までビザの発給が停止されているため、3月中にビザを申請して、ビザが4月1日に発給されたとしても来日は4月上旬にずれ込む見込みとなる。結果として、入学式や新入生ガイダンスに間に合わない。下手すると履修登録に間に合わない。

アメリカやヨーロッパの様子をみるとこのビザ発給停止対象国は今後拡大される蓋然性も高く、4月で日本の方でCOVID-19対策が解除されるのかどうかもわからない。そこで、以下のことを提言したい。

大学への提言

「入学料および授業料が支払われなかったとしても無料で半期の休学を認めてほしい」

来日できないのに大学の在籍期間が増えるのは学生の選択肢を狭めてしまう(多くの大学で修業年限の2倍の期間を越えると除籍扱いになる)。また、履修登録や講義の成績評価などについて特例扱いするのはそれなりにコストがかかる(いつ、登校できるようになるかでその大変さが大きく変わる)。そこで、入国が難しい時期に関しては休学を認めるべきだと思う(休学中は在籍期間にカウントされない)。

しかし、多くの大学では入学料が支払われないと除籍になる。また、授業料が支払われないと休学が認められない。また、私立大学では休学時にも授業料支払いが発生するところもある。

今回の特例として問題なく来日できる状況になるまで、入学料および授業料が支払われなかったとしても無料で半期の休学を認めるようにしてほしい。特例で入学料免除を申請した該当留学生については無条件で入学料免除するのも一つの手だと思う。国際送金は大きなコストがかかる。

文科省への提言

  • 「上述の特例処置を検討するように大学に通達を出してほしい」
  • 「2020年度入学者の定員管理を特例として緩めてほしい」
  • 「ビザ発給停止対応国出身の留学生に対してアパートの貸し出し拒否などをしないよう通達を出してほしい。」
  • 「大学が寮などを持っている場合は、ビザ発給停止対応国出身の留学生用にある程度提供できるように準備するよう通達を出してほしい」

国立大学は文科省に文句言われるのが怖いので基本的にお金関係で独自対応できない。なので、文科省から通達出してほしい。

追記:2020年3月16日

2020年3月6日付けで文科省から留学生に対する通達がでていた。新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について:文部科学省にある以下の通達。

各大学等におかれては、本情報を今春渡日予定の留学生に周知するとともに、予定していた時期に渡日できない場合に備え、補講や履修登録に関する柔軟な対応(期間の延長等)、必要となる修学上の配慮措置についても具体的に検討し、当該学生に幅広く情報提供するよう、よろしくお願いします。

なお、4月に新たに渡日予定の国費外国人留学生及び(独)日本学生支援機構「留学生受入れ促進プログラム」採用者については、出身国・地域に関わらず、新型コロナウイルス感染症に起因して所定の期間から遅れて渡日する場合や、秋渡日など奨学金支給期間を変更する場合も奨学金の受給ができるよう柔軟に対応することとしておりますので、このことについても当該学生にお伝えいただくようお願いいたします。詳細につきましては、国費外国人留学生制度は当省から、留学生受入れ促進プログラムは(独)日本学生支援機構から別途ご連絡いたします。