「公文書管理」の選択と集中は可能なの?

数十年後、百数十年後にどの公文書がどの問題解決に役立つものになるのかわからないのだから、コストを下げることを考えつつも、十把一絡げに保存しておくべきだと思う。

実際に日韓問題については日本政府は公文書を活用している。
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外務省は29日、いわゆる徴用工問題をめぐり、1965(昭和40)年に締結された日韓請求権協定の交渉過程で、韓国政府が日本側に示した「対日請求要綱」を公表した。要綱には元徴用工らへの補償請求が明記され、この要綱をすべて受け入れる形で計5億ドルの資金供与と請求権問題の「完全かつ最終的」な解決をうたった請求権協定が締結された。

一方で、予算不足の影響か重要と思われる文書が廃棄されている。
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自衛隊に一審札幌地裁で違憲判決が出た長沼ナイキ訴訟や、沖縄の米軍用地の強制使用を巡る代理署名訴訟をはじめ、合憲違憲などが争われた戦後の重要な民事裁判の記録多数を全国の裁判所が既に廃棄処分していたことが4日分かった。代表的な憲法判例集に掲載された137件について共同通信が調査した結果、廃棄は118件、保存は18件、不明1件だった。判決文など結論文書はおおむね残されていたが、審理過程の文書が失われ、歴史的な憲法裁判の検証が不可能になった。

裁判所の規定は重要裁判記録の保存を義務づけ、専門家は違反の疑いを指摘する。米国などでは原則永年保存され閲覧できる。

財務省の人たちは予算削減、税金増加が省益の人たちで、職務に精励しているだけなのでほっとくと予算削る。なので、こういうことに予算つけるのが政治案件だと思う。

紙媒体の保存だと難しいのならば国家プロジェクトとして公文書電子化&保管プロジェクトをたちあげればよいと思う。公文書の電子化の利益享受者は現世代だけでなく、未来世代にもおよぶと思うので、建設国債と同様の発想で公文書管理国債を発行し、100年借款ぐらいにすればよいと思う。

  • 各省庁ごとに行わせると非効率であるため、独立部署として公文書館の下部組織あたりに電子化部隊を構成する
  • 公文書の電子化業務は短期的には大量に、長期的には継続的に行われると思うので、短期的(10年程度)の人員として就職氷河期世代を中心に公務員として採用する。公務員としての採用は守秘義務を守らせるために必要。
  • 公文書は霞が関だけでなく全国の庁舎に散らばっていると思われるので、モバイル部隊(出先で電子化を行う)を構成する(3人1組ぐらい)。
  • 資料の重要度によって3レベルぐらいで対応
    • 簡易電子化(市販向け機器でのスキャン&PDF)&紙媒体廃棄
    • 詳細電子化(ハイエンド機器でのスキャン&PDF&高解像度画像)&紙媒体廃棄
    • 詳細電子化(ハイエンド機器でのスキャン&PDF&高解像度画像)&紙媒体保存
  • どうせ、どっかの段階で官公庁データセンターを用意しないといけないだろうから、その中に公文書クラウドを設置し、最低3カ所で同期&バックアップ)

現行の行政文書は「一応」電子化方針が決まっているとのこと。
公文書管理を全面電子化 政府、26年度メド 改ざんなど防止 :日本経済新聞

政府は30日、有識者でつくる公文書管理委員会を開き、行政文書の電子管理の促進に向けた基本方針の骨子案を示した。2026年度に予定する新しい国立公文書館の開館までをメドに、文書の作成から保存、移管までを一貫して電子化する目標を明記した。財務省による決裁文書改ざんや防衛省の日報隠蔽問題を受け、大半を紙で管理している現状を改め再発防止につなげる。