教育勅語:国民道徳協会訳文と1940年文部省図書局謹解

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以下に教育勅語 — 宮城県神社庁に提示されている国民道徳協会訳文と《教育勅語》には何が書かれているのか? / 辻田真佐憲×荻上チキ | SYNODOS -シノドス-に提示されている1940年文部省図書局謹解を国民道徳協会訳文の段落区切りと合わせて提示。

1段落目。

私は、私たちの祖先が、遠大な理想のもとに、道義国家の実現を目指して日本の国をおはじめになったものと信じます。そして、国民は忠孝両全の道を完うして、全国民が心を合わせて努力した結果、今日に至るまで、見事な成果をあげて参りましたことは、もとより日本のすぐれた国柄の賜物と言わねばなりませんが、私は教育の根本もまた、道義立国の達成にあると信じます。
(国民道徳協会訳文)

朕がおもふに、我が御祖先の方々が国をお肇めになつたことは極めて広遠であり、徳をお立てになつたことは極めて深く厚くあらせられ、又、我が臣民はよく忠にはげみ孝をつくし、国中のすべての者が皆心を一にして代々美風をつくりあげて来た。これは我が国柄の精髄であつて、教育の基づくところもまた実にこゝにある。
(1940年文部省図書局謹解)

2段落目。色強調はnext49。

国民の皆さんは、子は親に孝養をつくし、兄弟・姉妹はたがいに力を合わせて助け合い、夫婦は仲睦まじく解け合い、友人は胸襟を開いて信じ合い、そして自分の言動をつつしみ、すべての人々に愛の手をさしのべ、学問を怠らず、職業に専念し、智識を養い、人格をみがき、さらに進んで、社会公共のために貢献し、また、法律や、秩序を守ることは勿論のこと、非常事態の発生の場合は、真心をささげて、国の平和と、安全に奉仕しなければなりません。そして、これらのことは、善良な国民としての当然の努めであるばかりでなく、また、私たちの祖先が、今日まで身をもって示し残された伝統的美風を、更にいっそう明らかにすることでもあります。
(国民道徳協会訳文)

臣民は、父母に孝行をつくし、兄弟姉妹仲よくし、夫婦互に睦び合ひ、朋友互に信義を以て交り、へりくだつて気随気儘の振舞をせず、人々に対して慈愛を及すやうにし、学問を修め業務を習つて知識才能を養ひ、善良有為の人物となり、進んで公共の利益を広め世のためになる仕事をおこし、常に皇室典範並びに憲法を始め諸々の法令を尊重遵守し、万一危急の大事が起つたならば、大義に基づいて勇気をふるひ一身を捧げて皇室国家の為につくせ。かくして神勅のまにまに天地と共に窮りなき宝祚の御栄をたすけ奉れ。かやうにすることは、たゞに朕に対して忠良な臣民であるばかりでなく、それがとりもなほさず、汝らの祖先ののこした美風をはつきりあらはすことになる。
(1940年文部省図書局謹解)

3段落目。

このような国民の歩むべき道は、祖先の教訓として、私たち子孫の守らなければならないところであるとともに、この教えは、昔も今も変わらぬ正しい道であり、また日本ばかりでなく、外国で行っても、間違いのない道でありますから、私もまた国民の皆さんとともに、父祖の教えを胸に抱いて、立派な日本人となるように、心から念願するものであります。
(国民道徳協会訳文)

こゝに示した道は、実に我が御祖先のおのこしになつた御訓であつて、皇祖皇宗の子孫たる者及び臣民たる者が共々にしたがひ守るべきところである。この道は古今を貫ぬいて永久に間違がなく、又我が国はもとより外国でとり用ひても正しい道である。朕は汝臣民と一緒にこの道を大切に守つて、皆この道を体得実践することを切に望む。
(1940年文部省図書局謹解)

国民道徳協会訳文について《教育勅語》には何が書かれているのか? / 辻田真佐憲×荻上チキ | SYNODOS -シノドス-より。

荻上 塚本幼稚園のホームページに掲載されているのは、国民道徳協会による現代語訳というもので、明治神宮のホームページなどでも使われています。この訳が一人歩きしているように感じますが、なぜこれほど広まっているのでしょうか。

辻田 この現代語訳は、佐々木盛雄という元自民党議員が作ったものです。彼は、「教育勅語の精神を失ったから日本は道徳的にダメになった」という主張のもとに、70年代ごろに教育勅語を復活させるために訳を作りました。ただ、当時はまだ戦争の記憶がある人もたくさんいましたから、国民が受け入れやすいように特に天皇に関わる内容をうまくごまかして作ったんだと思います。

この現代語訳が、戦後の教育勅語復活論の時に必ず使われてきたのです。明治神宮に至っては、教育勅語を出した明治天皇を祀っているところなのに、なぜか天皇に触れる部分を削った訳を使っているのは不思議ですが、いつの間にかこれが定訳のようになってしまったんですね。
《教育勅語》には何が書かれているのか? / 辻田真佐憲×荻上チキ | SYNODOS -シノドス- | ページ 2より)