夏休みになり学生のみなさんにとって大学の前半期が終わった。
学生のみなさんの中には前半期に講義に出ようと思っていたのに出れなかった人がいると思う。そういう人は、ぜひ、講義に出れなかった理由を「自分を責めることなく」振り返ってみてほしい。
アルバイトが大変で講義にでられなかった
私が学生だったころ(90年代後半~2000年代前半)にくらべ、今の学生さんは学費や生活費を稼ぐためにアルバイトをしている比率が高い。しかも、以前に比べて長い時間アルバイトをしているように思う。多くの学生さんはアルバイトと学業を両立させているのだけど、毎年、数名はアルバイトと学業の比重がおかしくなっている人もいる。さらには、アルバイトと学業の比重を自分で制御できているのならば、まだ良いのだけど、アルバイト先の圧力によって比重をおかしくさせられている例もあるらしい。いわゆるブラックアルバイト。
私はTBSラジオ Session 22の以下の回を聞いて、初めて認識した話。アルバイト先があなたが講義に出ることに干渉してきたら立派なブラックアルバイトなので、いったん誰かに相談してみた方が良いと思う。
www.tbsradio.jp
また、経済的な理由によりアルバイトを多くしないと大学を辞めるしかないという状態にあるならば、ぜひ、休学という制度の利用を検討してみてほしい。理由は、大学(学部)には在籍期間の制限があるので。多くの大学では8年間だと思う。休学をしていれば、その間は在籍期間にカウントされないので8年間という時間をフルに卒業のために使うことができる。国公立大学の場合は休学期間は学費無料が多く、私立大学でも学費が何分の一かになることが多いと思う。
朝起きれないので講義にでれなかった
多くの場合は生活習慣の乱れによる寝坊なのだと思う。前日、夜更かししたり、飲みすぎたりしたときに朝起きれないのは理由がわかっているので明確。
気を付けるべきなのは、特に理由がないのに朝起きれない(朝起きても寝床から出れない)とか、そもそも、寝れないとか。睡眠関係のトラブルはメンタルヘルスの不調の現れかもしれない。朝起きようとがんばっているのにも関わらず改善しないのならば、一度、大学が提供しているカウンセリングサービスを受けてみるのも良いと思う。カウンセリングに行くのが敷居高いのならば、以下のページで情報収集するのも良いかも。
www.mhlw.go.jp
講義では「~」を行うことが求められるが、私は「~」を行えないので講義にでれなかった
勉強しなくても単位が欲しいという話は論外だけど、何らかの読み書きやコミュニケーションなどに何らかのトラブルがある場合には「建設的対話」を行い、「合理的配慮」を求めるのが良いと思う。「合理的配慮」は診断がついた「障害」を持つ人のためだけのものではなく、大学および教員と学生が著しい負担を伴わずにできる範囲で学びの機会の平等さを探っていく話であると思う。建設的対話や合理的配慮とはなんぞと思った方は以下の記事をどうぞ。
実際の合理的配慮事例については日本学生支援機構がパンフレットを出してくれている。一つ目は教職員向けだけれども、これを読んでおくことで大学がどういう対応を望まれているのかの概要がつかめると思う。二つ目は障害別の配慮事例。もちろん、建設的対話が必要ではあるが、どういう配慮を求めることができるのかの目安になると思う。
おわりに
ここ数年、「それは自分の心がけとか、努力でどうにかなる話じゃないので、誰かに助力求めた方が良いよ」という事例に何件か直面し、かつ、実際に助力を得たことで状況が好転した例(一方で助力を求めていないので状況が改善しないままの例)を見た。以下のエントリーでも書いたのだけど、大学を含め、今の社会制度だと助力を求められないと手を貸すことができないので、ぜひ、まずは助力を求めてほしい。
追記:大学のうちに自分の特性との付き合い方を覚えていくということ
上のシノドスの記事でも大学生のうちに合理的配慮の求め方を練習しておくことが勧められているけど、診断名がつく「障害」だけでなく、診断名が付かないけど日常生活やビジネスシーン、集団生活において不都合がある特性に関して、大学生のうちに把握して、自分にとって不利にならないように隠したり、そらしたり、有利に変えたりする方法をいろいろとやっていくのが良いと思う。以下の記事読んで、非常にそう思った。