そもそも、私には武雄市だからという偏見があるのを前提としていただいて、以下のエントリーをお読みください。
一般的に学校と学習塾に求められているものは違うので、その違いを勘案した上で塾の教育技術が一般的に高いのかはちょっと疑問な点がある。
違い | 学校 | 塾 |
生徒の選抜 | されていない(小・中学校) | 経済的・環境的にされている |
教育対象 | 全人的 | 勉学(特に5教科)のみ |
学習範囲 | 指導要領に定められた範囲すべて | 重要な点に集中(特に受験関連) |
教える人数 | 20〜40人 | 〜20人(?) |
塾の強みは教える人数や学習範囲について選択と集中を行えるところにあるというのが私の認識。そして、学校の弱みが選択と集中が行えない点にある。「選択と集中」が行えるかどうかは個々人の授業技術にもよるが、その多くは前提条件によっている。学校に期待されている役目から考えると、そもそも選択と集中は馴染まない(選択と集中は公教育の役割ではないと思う)。
塾の強みを考えるとき、学校において塾のノウハウで一番適合するのは「あぶれた生徒」へのフォローの部分。授業が簡単過ぎて上にあぶれている生徒、授業がむずかし過ぎて下にあぶれている生徒。この部分へのフォローはまさに塾の強みが生きる。ただし、フォローをする人員を保持できなければ、塾のノウハウを入れても意味がない(教育バウチャー発行して塾にお願いしたほうが良い気がする)
もちろん、学習塾の方が指導要領に縛られない代わりに授業方法を試行錯誤しつつブラッシュアップするのが容易であることから、非常に優れた授業方法を確立している可能性も高い。これを導入するのは良い話。でも、この場合はその授業方法が本当に有効なのかが問題となる。
ぜひ、上記のようなことを区別して良い環境を作ってほしいところ。
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塾に通っている子供の成績がよいのは「勉強を見ている大人が一緒にいるから」という可能性もある。
――では、学習時間に影響する要因は、何ですか?
中室:親の関与です。図1、2は、親の関与の仕方と子供の学習時間の関係を示しています。関与の仕方は、①勉強をしたか確認している②勉強を見ている③勉強する時間を決めて守らせている④勉強するように言っている――の4通りですが、母親の関与で最も効果が大きかったのは「勉強する時間を決めて守らせている」でした。一方、「勉強するように言っている」は女の子に対してはマイナスです。つまり母親が同性の子供に「勉強しなさい」と言うと、逆効果なのです。
父親の関与で最も効果が大きかったのは「勉強を見ている」でした。総括すれば、子供の横について勉強を見てやるか、勉強時間を決めて守らせるかのいずれかでなければ、子供の学習時間は延びません。父親と母親では、関与の効果に差がありますが、父親の役割がかなり重要であることが明らかになりました。これは少し意外でした。
――どのような政策的含意が導き出されますか。
中室:親の能動的な関与が、子供の学習時間に影響を与えることがわかりました。しかし、関与者は必ずしも親である必要はなく、親せき、祖父母、あるいは他人でも同程度の影響が得られるのです。
現在、全国で「放課後教室」が開かれていますので、そうした場に子供の横について勉強する時間を守らせる大人をボランティアなどで配置できれば、学習時間を延ばす効果が期待できます。また塾に通えば確実に勉強時間は延びますから、塾に対する行政の補助も有効な政策になり得るでしょう。