同ケースが他にないか損害賠償請求を猛烈にチェックするべき事案のような

商船三井の船が中国で差し押さえられた話を見たとき韓国が戦時徴用に対する賠償をしている話と同じかと思った。

でも、今回の話はどうも違う様子。これは、単なる民事の損害賠償らしい。

  1. 商船三井の前身の一社である大同海運は、1936年6月及び10月に中威輪船公司から順豊号及び新太平号を定期傭船する契約を締結したが、傭船期間未了のまま日本政府が徴用。両船とも徴用中に沈没或いは消息不明になった。
  2. 1964年、中威輪船公司代表者の相続人が日本政府を相手として東京簡易裁判所に調停を申し立てたが、1967年不調に終わった。1970年には原告は東京地方裁判所に損害賠償請求を提訴したが、東京地裁は1974年に消滅時効の成立を理由として棄却した。その後、原告は東京高等裁判所控訴したが、1976年に取り下げ、東京地裁の判決が確定した。
  3. 1987年初に中国の民法における時効制度が通知され、1988年末が損害賠償の提訴の期限となったため、中威輪船公司代表者の相続人が、1988年末に大同海運の後継会社であるナビックスライン(株)(現在の商船三井)を被告として、上海海事法院に定期傭船契約上の債務不履行等による損害賠償請求を提起した。
  4. 2007年12月7日上海海事法院にて、原告中威輪船公司に対して約29.2億円の損害賠償を当社に命ずる一審判決が出された。当社は、同判決を不服として上海市高級人民法院(第二審)に控訴した。
  5. 2010年8月6日、上海市高級人民法院より第一審判決を支持する第二審判決が出された。当社は、最高人民法院に本件の再審申立てを行ったが、2011年1月17日に、同申立てを却下する旨の決定を受けた。
  6. これを受け、当社は上海海事法院と連絡を取りつつ、和解解決を実現すべく原告側に示談交渉を働きかけていたが、今般、突然差し押さえの執行を受けた。

日本だと時効がきて、損害賠償請求する権利が失われたけど、中国に時効制度ができたので期限内に提訴したので中国の法律では損害賠償請求する権利が保たれたという話の様子。なので、中国政府の談話は以下のようになる。

およそ20年たった後に一審の判決が出されたという段階で、だいぶ政治的だけど理屈上は戦争賠償とは無関係といえるっぽい。