OSC 2012 Fall:iSPP調査報告:「東日本大震災 被災地住民の情報行動から学ぶ」

重い話だけれども非常に面白かった。2コマ連続セミナー。大まかにわけて3部構成。第一部は、会津 泉さんによる東日本大震災の発生直後に被災三県においては、どのような情報入手方法があったか、また、どの情報収集経路が役に立ったかのインターネット調査&聞き取り調査結果の説明。第二部は、岡田 良太郎さんによる最近IPAが行ったオープンソースに関連する調査の紹介、第三部がIPAが依頼し、会津さんが所属されているiSPPが受託した東日本大震災直後から同時多発的に作られた各種支援サイトについての調査の紹介&トークセッションだった。このコマを聴けただけでもOSC 2012 Fall 1日目に行ったかいがあった。

iSPP調査報告:「東日本大震災 被災地住民の情報行動から学ぶ」

2011年7月に情報行動調査を実施したとのこと。目的は、東日本大震災に際し、被災地域の住民が、災害発生以降、必要な情報をどのように入手・発信・活用できたか、あるいはできなかったか、それらの要因はなんであったのかのデータを得ること。調査の結果は3.11 被災地の証言 ー東日本大震災 情報行動調査で検証するデジタル大国・日本の盲点ーにまとめてあるとのこと。まずは、これを購入して読んでみる。

  • 何かしたいと思っていている人で、被災地に行ったことないならば、まずは行った方が良い
  • 東京ではSNSTwitterなど)が役に立ったという声が多かったが、現地では使えなかったという声が多い。
  • 東日本大震災は広域災害であったため、被災地とひとくくりにしてICTの有効性を語るのは適切でない。同じ町であっても丘の上と丘の下では状況が全く違うため、情報収集行動も同じくまったく異なる場合ある。「どこで」をしっかり考慮して、災害時における情報収集方法を検討しなければいけない
  • 津波の被害が甚大だった沿岸部では情報の空白地帯であることが続いた
  • 内陸部でも停電の影響が大きかった
  • ラジオ以外は限定的役割、携帯が使えなかったという不満が多かった
  • 聞き取り調査180件強、インターネット調査2800件強ぐらいの調査結果において、ICTが避難の際に明示的に役に立ったと答えたのは13/3000だった。
  • 食糧、ガソリンの有無などの地域密着情報が被災地の人にとって必要だったが、ラジオ、テレビではそれが提供できなかった

よりしなやかなIT社会への変革 〜 3.11後の二つの調査より

このたびの第5回の調査により明らかになった、オープンで公正なIT調達を実施する上での阻害要因や促進要因、先進事例、普及展開のための方策について公開致しました。

例年継続して実施する調査内容に加え、今回の調査では、東日本大震災による地方自治体への影響について、災害に対応する情報システム基盤および運用管理の実際を中心に、ヒアリングを実施しました。

もう一つの調査「震災後復旧、復興活動を行ったITコミュニティ活動に対する調査」はComing soonとのこと。この調査結果をネタに岡田さんと会津だんのトークセッションになった。岡田さんは自分でプレゼンするよりも、こういうトークセッションの司会やった方がうまいと思う。

  • 調査対象の250ぐらいの支援サイトの半数は、震災発生後1週間でリリース&活動を開始している
  • 支援サイト運営者とそのサイトの技術者の年齢を比較してみると、技術者の方が年齢が高め
  • 広域災害だったので支援対象も幅広かった
  • 支援サイトで扱ったデータとして地理データを扱っているところが多かった
    • 会津さん曰く「KMLに熟練していた考古学者などはIT技術者でなくてもすぐにGoogle Mapといろいろな情報を連携させていた」
  • 支援サイトを作ろうと思ってから何時間でリリースしたかという質問では、6時間以内という回答者が18%ほどいた。思い立って3日以内で支援サイトを作ったというのが全体の半数ほどだった。
  • およそ半数が支援サイト作成のためのリソースを事前にもっていなかった(思いついてから調達した)
  • ほとんどの支援サイトが「とにかくスピードを重視した」
  • 支援サイトの4分の1が立ち上げ時のメンバーは1人

その他メモ