言語技術は重要

まとめ

以下の3冊お勧め

一つ目の本は、主に欧米でおこなわれている「テクストの分析と解釈・批判」について説明している。前半で、三森さんが「テクストの分析と解釈・批判」がなぜ重要だと思ったのかが三森さんの経験を通して説明されている。後半は、「テクストの分析と解釈・批判」の第一歩としての「絵の分析と解釈・批判」のやり方と具体例。次に「テクストの分析と解釈・批判」のやり方と具体例が紹介されている。

二つ目の本は、欧米の言語を用いてコミュニケーションを行えるようになるためには、日本語における思考法や説明の仕方を欧米のコミュニケーション法(言語技術)に近づける必要があるという主張とそれを行うための言語技術の基本訓練に関して紹介している。まず、日本語と欧米の言語(主にドイツ語と英語)の特性の違い。この言語の違いに由来するコミュニケーション法の違いを説明し、その後、欧米の言語を用いてコミュニケーションするための技術である言語技術に関して説明をしている。さらに、この言語技術を身につけるための第一歩として、欧米の言語に翻訳しやすい日本語の文章である「中間日本語による文章」をどうやって作るか、対話をおこなうための訓練である「問答トレーニング」、そして、説明を行うための技法を具体例を挙げつつ紹介している。

三つ目の本は、ドイツでのサッカーコーチの経験がある田嶋さんが海外の選手にはあるが、日本の選手にかけているのは説明する能力だという結論に至るまでの過程と、それを解決する手法として言語技術の導入を行った話が説明されている。

とりあえず言語技術がどう役に立つのかを知りたい方は、3冊目を読むと良いと思う。言語技術とは何かを知りたい方は1冊目と2冊目がお勧め。

本文

以前書いたエントリー外国語で発想するための日本語レッスンが縁で、外国語で発想するための日本語レッスンを読まれた方がいらっしゃるとのこと。良い本のご紹介ができてうれしい

「外国語で発想するための日本語レッスン - 発声練習」の書評で興味が湧いて読んだのだが,まさにスゴ本,久しぶりに目から鱗が落ちるような体験をした.何気ないことへの明確な理論的解釈を与えられ頭の論理回路を再構築するような感覚で,知的興奮とは違った別の高揚感を感じた.

時を同じくして地政学を英国で学んだ:「違和感がある」はマズいで以下のことが述べられている

ご存知のように、私は去年までイギリスに留学していたわけですが、それまでは向こうの人間と議論などをする時は、「違和感がある」という言葉など使ったことがないですし、実際そのようなことを議論で使う人間もおりません。
〜中略〜
というのも、この「違和感がある」というコメントというのは、向こうでは単なる感情を表現しただけの言葉であり、まったく論理的だとみなされないからです。

では論理的で知性の高い人物は議論の時にどうすればいいのかというと、「なぜ違和感があるのか」を説明しなければならないわけです。そしてそれを説明できなければ、単なる「無能」と見なされてしまいます。

そして、この考えが上記ブログの筆者である奥山さんだけの思い込みでないという例で出されているのが、田嶋幸三さんのコメント。この田嶋さんと外国語で発想するための日本語レッスンの著者の三森さんは、言語技術という点でつながっている。田嶋さんが感じた問題意識を解決する手法として、三森さんが提唱されている言語技術をサッカーの選手やコーチの育成に導入したという関係。この経緯は、「言語技術」が日本のサッカーを変えるにて紹介されている。

別々のブログのエントリーで言語技術について語られているので面白く思いこのエントリーを書いてみた。ちなみに、これから実施される新学習指導要領には言語技術がある程度取り込まれているとのこと。