国別博士号輩出数

日本では、東大だけで年間1100人以上(米国には事実上存在しない論文博士180人を除く)、京大が年500人強、全国ではちょっと古い資料でも年16000人!、妙に数字が多い保健分野を除いても年9000人も生み出されている。そもそも個々の大学の基礎的な実力、体力*4としてこんなに生み出せるはずがないと思うのに加え、総数としても人口比アメリカの2.4分の1しかないことを考えれば、かなり多いことは自明。

アメリカの方が博士がバンバン輩出されているイメージがあるからびっくり。調べてみた。

平成20年度の学校基本調査:博士課程の専攻分野別 入学年度別 卒業者数によれば、平成20年度の博士課程卒業者は以下のとおり(博士課程の進路別 卒業者数 の数字とは食い違う。こちらは卒業者の合計が16,281人。ただし、いろいろ含んでいるみたい)。

博士課程修了者数 最低修業年限での修了
合計 11,660 5,914
国立(修業年限3年・男) 6,268 3,299
国立(修業年限3年・女) 2,017 839
公立(修業年限3年・男) 326 177
公立(修業年限3年・女) 154 78
私立(修業年限3年・男) 1,935 1,050
私立(修業年限3年・女) 960 471

余談ながら、博士課程の専攻分野別 入学年度別 卒業者数を見ると、課程博士のおよそ半分しか3年で博士をとれていない。

旧帝大でだいたい年間3,500人ぐらいに課程博士号を授与していることになる。論文博士を合わせて4,000人というところかな。

文部科学省:「教育指標の国際比較」(平成20年版)の学位取得者の専攻分野別構成によれば、2004年〜2005年付近の学位取得者数は以下のようになっていた。

国名(年) 博士号取得者数 理工農系 人口
日本(2005) 17,396 7,149 約1億2,700万人(2008年)
アメリカ(2004) 52,631 19,943 2億8,142万人(2000年の国税調査に基づく50州)
イギリス(2005) 16,500 8,700 6,097万人(2007年)
フランス(2005) 9,541 5,707 6,450万人(2008年、仏国立人口問題研究所)
ドイツ(2005) 25,952 10,242 8,231万人(2006年末)
ロシア(2005) 4,282 1,854 1億4,190万人(2008年6月)
韓国(2005) 8,909 3,814 約4,846万人

元エントリーで述べている博士号(Ph.D)以外の数値も含んでいる可能性があるが、アメリカも十分に博士が多い。人口比でみても日本の2倍は毎年博士が輩出されている。なので、元エントリーの人口比に対する内容はちょっと煽りすぎかなと思う。

ただし、アカデミックポストの吸収能力がアメリカの方が上というのはそのとおりだと思う。なんせ、大学数が違う。日本は756校に対して、1794校とおよそ二倍。どれくらいが博士号求められるのかわからないけど学校数で考えても2倍の吸収能力はあるのではないかと。(参考: 国別大学の数と進学率

ニューロサイエンスとマーケティングの間 Being between Neuroscience and Marketing:ポスドク問題について思う2の内容についてはそのとおりかなとも思う。

補足:他の資格業の年間排出者数