入試ネット投稿:京都大への批判強まるそうですが、カンニング話に便乗して。
テレビやドラマ、映画などで映される受験生は姿勢良く受験していますよね。でも、本当はそうでもないんです。
ほとんどの人は人生において試験を受ける側であったことと思います。ですから、試験会場の雰囲気を良く知っているような気持ちになっていると思いますが、試験中に他の受験生がどのような姿勢で試験をうけているのかをじっくりと観察したことはないと思います(そんな素振りをしていたら、まさにカンニングと判定されてしまいます)。
私は、大学教員になってから入試だけでも十数回試験監督をしていますが、かなりの数の受験生はへんてこな姿勢で回答しています。
机につっぷして、寝ているような姿勢なのに(顔だけ横向いている)ペンを動かして回答している人。試験時間中、ひじを机の上にのせ、その手でずっとほおづえをつきながら回答している人。椅子に斜めに腰掛けて半身で回答している子(その子の席が壁際かつ一番後ろだったので、カンニングでないことがわかりましたが)。両手を股の間に挟んで考えている人。「そんな姿勢で字を書けるのかよ?」「そんな姿勢で集中できるのかよ?」という子が結構います。
今回の京都大学の入試で携帯電話を使ったカンニングをした学生がどのような姿勢で行っていたのかわかりませんが、「携帯電話使っていたらすぐわかるだろう?」という決め付けには、試験監督をやらざる得ない身からすると「ちょっと待って、姿勢と状況を確認させて」と思ってしまいます。
試験監督は、試験を円滑にかつ公正に進める役割を持ちますが、受験生の回答中の姿勢までを強制することはできません。基本的な発想として、受験生が100%の力を発揮できるようにしてあげるというのが試験監督の発想です。なので、花粉症の子がいれば目薬の使用を認めますし、風邪を引いている子がいればマスクの着用を認めます。他にもひざかけや座布団も、試験の解答に役立つ情報がプリントされていない限りは認めます。止まれ。明らかに他人に解答用紙が見えてしまう姿勢、他人の解答用紙が覗けてしまう姿勢以外は、自由な姿勢で受験することを許しています。
なので、巧妙に携帯電話を隠されていたり、他人からどう見えるのかを十分考えて振る舞いを制御されているならば、カンニングを見破るのは簡単ではありません。入試のほとんどの試験監督は大学の職員か教員であり、対カンニングGメンじゃありませんので。
今の風潮ですと、来年あたりから「受験中に両手を机よりも下に置いたら不正行為を行っていると見なし、解答を中止させることがあります」という通達をするところがでそうで怖いです。
物事はかならずプラスの面とマイナスの面がある(トレードオフの関係になっている)ので、試験監督が不正行為を見抜きやすい状況は、受験生にとって何らかの制限が課せられている状況になります(その逆もしかり)。ぜひ、程よい落としどころに落ち着くようになることを祈っています。