合格者決定の流れ

大学職員が入試合否判定について思ったことについて、告発しないでもう少し状況を見た方が良い。国公立大学ならば合格者の詳細がWeb上に公開されるので、あんまりにもおかしければ遅かれ早かれ発覚する。

実施時期が早い入試で入学者を多く確保したい動機

公立大学はいくつは入試方法があるのでわからんないけれども、国立大学の場合は入試は大きく分けて3つの手段がある。1) 推薦入試(AO入試)、2) 一般入試前期日程、3) 一般入試後期日程。

  • 推薦入試(AO入試):センター試験前が一般的。合格手続きもセンター試験前のことが多い。センター試験を合格判定資料に使う場合は前期日程前に合格発表、その後入学手続き
  • 一般入試前期日程:2月下旬。合格手続きは3月上旬
  • 一般入試後期日程:3月中旬。合格手続きは3月下旬

まず、国公立大学は募集人員を大幅に超えて入学者を入れることはしづらい。なぜならば、ペナルティがあるため。

 【定員超過の場合】
 国立大の「定員超過」に対する是正措置は、16年度の法人化後間もない18年度に国立大の「入学定員」超過率が私立大を僅かに超えたことなどから、20年度から段階的に強化されてきた。
 現行では、大・中規模学部(学部入学定員100人超)は「入学定員」超過率=1.1倍以上、小規模学部(学部入学定員100人以下)は「入学定員」超過率=1.2倍以上で、それぞれ“「入学定員」超過率以上の入学者数分”の「学生納付金相当額」を国庫に返納する措置が講じられている。
 また、各年次においても、それぞれの「定員超過率」(現行では学部定員100人超の場合、1.1倍)以上の学生数分の授業料収入相当額を国庫に返納する。

一方で、定員割れの場合もペナルティがある。

 【定員割れの場合】
 「収容定員充足率」=90%を下回る場合、運営費交付金の積算における、“学生受入れに要する経費として措置されている額”のうち、「未充足分に相当する額」を国庫に返納する。
 国庫への納付額は、「(収容定員-在籍学生数) × 学生1人当たりの教育費単価」である。

運営費交付金が主たる収入源である国公立大学にとって上記のペナルティは厳しい。よって、定員割れを起こさず、かつ、定員超過も起こらないように合格者を決めなければいけない。この定員管理は基本的には大学全体、大学内では学部および学科ごとに管理される(ポイントは、入試ごとにではないという点)

しかし、合格者は必ずしも入学してくれないという現状がある。

一般的に入試の実施時期が早いほど、その合格者は入学してくれる確率が高い。少なくとも、入学手続きは早いのでどのくらい合格していなかったのかがわかりやい。入試の実施時期が遅くなるほど合格者に占める入学者率は少なくなっていく。また、入試のルールとして、募集人員よりも少ない合格者を出すのは難しい(確たる理由を外部に、特に文部科学省に示さないといけない)。

以上のような前提の下で、大学としては入試実施時期が早い入試で多めに入学者を確保したいという動機がでてくる。特に不人気の学部・学科・専攻の場合は、早めに入学者を確保する動機は高まる。早めに実施される入試で、多めに入学者を確保しておけば、後に実施される入試は募集人員ぴったりの合格者を出しておき、入学辞退者がでた場合は先に多めに確保していた入学者で補える。もし、それで足りなかったとしても追加合格手続き(入試のボーダラインの人を順位順に電話かけて合格と入学の意思を確認する手続き。上位が辞退しないと次の順位の学生に電話かけられないので非常に時間かかる)を少なくすませることができる。

このやり方はキレイでないけど許容できる範囲かと思う。受験生にとっては合格の可能性が増えているので不利益はない(利用する入試形態によって合格の難易度が変わるという点で不公平ではある)。文科省にとっては定員管理できているとして国民や他の私立大学に面目がたつ。大学・学部・学科は定員管理にかかる手間(&補欠合格の受験生への迷惑)を抑えることができる。

告発をとどまった方が良い理由

以下の記述だけだと、合格者を決める権限を専攻ごとに持っているのか、専攻の上のグルーピング(たとえば学部とか学環とか)で持っているのかが定かではない。専攻ごとに合格者を決める権限を持っているならば、上の理由により、定員管理の戦略として合格者を多めに出している可能性がある。たぶん、募集人員を専攻ごとに出しているので、その場合は、専攻が異なる受験者同士で合格のボーダーラインが異なるのはおかしいことではない。

判定の原案によると、募集人員(少数)を大幅に超過した人数を合格としている。
募集人員を無視しているだけでも、あやしさMAXなのだが、それだけではない。

水増しされた合格者の専攻分野が偏っているのである。
この原案のボーダーラインだと、特定の専攻分野の志願者のみ全員合格となっているのだ。
特定の受験生の得点だけ上乗せ操作しているのがモロバレである。

大学職員が入試合否判定について思ったことより)

以下の件に関しては意向が働いているのだろうと思う。人気がないので上述の動機がより深まるわけなので。

この背景には、権限強化している学長の意向がある。
学長は特定の専攻分野の学生数をどうしても確保したいらしい。
大学職員が入試合否判定について思ったことより)

とりあえず書かれている点からすると、以下は厳しすぎる意見だと思うのが告発をとどまった方が良い理由。

これではとても公正な選抜とはいえない。
世間にバレたら間違いなく問題になるだろう。
なにより受験生全員に対して不誠実だ。
大学職員が入試合否判定について思ったことより)