たぶん『いかがわしい店』を潰したから街がダメになっていったわけではない

「白河の清きに魚も棲みかねて もとの濁りの田沼恋しき」という話があるから、以下のまとめに「なるほど」となっちゃうかもしれないけど、たぶん、因果関係が逆。男性中心の旅行客が減ったから、風俗店・飲食店が成り立たなくなり、風俗店・飲食店が成り立たなくなったから、雇用を維持できず人が流出したという流れだと思う。
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そう考える理由は国内旅行者のスタイルが変わってきたから。まず、バブル崩壊後は景気が悪い時期が30年続いており、国内旅行者数が減っている。そして、団体旅行が減り、個人旅行が増えた。個人旅行でも一緒に行く人が家族、恋人、配偶者という状況、しかも日帰り旅行が増えている。こういう環境下で、いかがわしい店が温泉街にあったからといって、そこの温泉街に客が増えるかと言えば、増えない。
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国内宿泊旅行者数は、1990年まではゆるやかに増加してきたが、その後現在に至るまで目立った増加は見られない。1990年代に入り、国内旅行における消費単価は年々下落する傾向にある。旅行者数が増えない一方で、消費単価が下落するため、宿泊を伴う国内旅行の総消費額も下落してきている。

バブル経済の崩壊以降、国内団体旅行は減少の傾向が続いたが、90年代後半からわが国の経済環境が厳しさを増したことに伴い、企業の職場旅行、招待旅行などの団体旅行の減少は加速している。大手4社の国内団体旅行取扱額は1997年から2001年までの4年間で600億円(約20%)減少した。

近年、高速道路や新幹線の整備が進んだことにより、かつては宿泊しなければ行くことができなかった観光地への日帰り旅行が可能になったことなどを背景に、日帰り旅行参加者は過去四半世紀にわたり増加を続けている。(社)日本観光協会の調査によると、平成13年度に日帰り旅行に出かけた人は国民の65%を占め、日帰り旅行者一人当たりの1年間の参加回数は5.7回であり、国内日帰り旅行消費額は5兆2640億円(国土交通省「我が国における旅行消費の経済波及効果について(2002年)」)となっている。

JTBの旅行年報みても、コロナ前の2018年でも個人旅行が国内旅行の5割以上で団体旅行は6%ぐらい。出張旅行も思ったほど多くなく20%弱。
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今、泥沼化している「温泉むすめ」の話も、個人旅行客を獲得するための手段として実施されているのだと思う。