できるようになってもやらないとする判断

従来は技術やコスト的にできなかったので「それは無理」として考慮の外にあったことができるようになったとき、やるかやらないかは考え方の問題になる。求められるままに提供するのが良いのか悪いのかというのはどの分野でもあったわけだけど、難しい話。

サイト開設は昨年9月。成績通知や、地方での保護者懇談会などは以前から実施してきたが、保護者から「もっと情報を」と要望があったためだ。

東京工芸大学の生協は昨年4月、厚木キャンパス(神奈川県)で「学食パス」という制度を始めた。交通系ICカードに入金すると、学食で精算に使え、食べたメニューをサイトで確認できる。「仕送りしても何に使うかわからない」という保護者の要望を満たす。全国大学生協連によると、同様の仕組みは10年ほど前に始まり、全国約90の大学に広がった。

工芸大では導入直後、ある学生の母親から「息子と連絡が取れない」と連絡があった。学食パスの履歴を確認し、「昨日も食べていますよ」と伝えると、「無事でよかった」と安心した様子だったという。

こういうサービスが好評なのは親と子供の間でのコミュニケーションコストが減るから。誰だって楽したいので、子供の同意を得ることなく、好きなタイミングで子供の状況を確認できるというのは、それを望む親にとって良いサービスだと思う。自分じゃない他人の同意を得るというのは長年一緒にいて文脈を共有している相手であっても難しいということの証拠。

そりゃ、いろんな会社が利用者の同意を個々に得ることなく行動履歴をとりたがるわけだ。コスト高いものね。