報道&プレスリリース
- 2018年5月31日:就活生の情報「見える化」、リクルートキャリアが大学向け支援 :日本経済新聞
サービス名は「R―シップ2キャンパス」で、このほどサービスを始めた。2020年卒の学生を対象に約151大学の導入が決まっており、全大学の約4分の1の学生の就活データが集まる計算。
- 2019年8月1日: 就活生の「辞退予測」情報、説明なく提供 リクナビ :日本経済新聞
就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京・千代田)が、就活学生の「内定辞退率」を本人の十分な同意なしに予測し、38社に有償で提供していたことがわかった。個人情報保護法は、個人情報の外部提供に本人の同意取得を義務付けており、違反の恐れもある。個人情報保護委員会が事実関係の確認を始め、リクナビは7月末でデータ販売を休止した。
問題となったのは、リクルートキャリアが2018年3月から提供している「リクナビDMPフォロー」という企業向けサービス。採用活動を行っている企業が、自社の選考や内定を辞退する可能性のある学生に対し、面接を受けてくれるよう呼び掛けるといったコミュニケーションを促すために開発したという。
例えばA社に対しては、「現在A社を受けている学生」がどれだけA社の選考・内定を辞退しそうか、5段階で判定した結果を提供。判定にあたっては、「前年度にA社の選考・内定を辞退した学生」がリクナビ上でどんな行動を取っていたか――といったデータを、個人が特定されない形で活用・分析し、アルゴリズムを作成。現在A社を受けている学生の行動と照合していたという。
リクルートキャリアは、「A社に対して提供しているのは、あくまでA社の選考に関する判定結果のみ」と説明。「A社の選考を受けていない学生の情報」「A社の選考を受けている学生の他企業の内定辞退率」といったデータや、「学生の行動データそのもの」は提供していないとした。
また、提供先企業については、判定結果をもとに「内定辞退率が高そうだから採用しない」といった合否判定を行わないよう、同意書にサインをもらっていたという。
なお、本サービスで企業に提供されるデータは、リクナビの閲覧データをもとに算出されたスコアであり、学生の能力を推し量るものではありません。この点、いかなる時期であっても提供された情報を合否の判定に活用しないことにご同意いただいた企業にのみ、本サービスをご提供してきました。ご利用いただいている企業には当社から定期的に利用状況の確認をさせていただいております。
- 2019年8月2日: 就活、問われるデータ管理 「辞退予測」に学生困惑 :日本経済新聞
リクナビは約80万人の学生が登録する業界大手。学生がいつ、どの企業の情報をどれくらい見たかといった閲覧履歴から、企業ごとの「内定辞退率」を5段階で算定。学生の氏名を特定した状態で、データを定期的に利用企業に提供していた。利用料金は他の支援サービスと合わせて年400万~500万円程度だった。
一方、マイナビは情報サイトとは別に、16年から三菱総合研究所と人工知能(AI)サービス「プライオ」を展開。顧客企業が持つ過去のエントリーシート(ES)や選考結果、入社後の評価といったデータを分析。これを、選考中の学生が提出したESなどのデータと照合して「優先度」や「辞退可能性」を5段階で評価する。現在、約80社が利用している。
ただ、プライオの利用規約では「個人情報に該当する情報をマイナビと三菱総合研究所に提供してはいけない」と定めており、ES分析や辞退率の算出も氏名が分からないよう加工した状態で行う。「マイナビ」と「プライオ」は全くの別サービスとの位置づけで、連携していないという。
- 2019年8月2日: 就活インフラにゆがみ リクナビ問題が波紋 :日本経済新聞
- 2019年8月3日: 内定辞退率を販売/リクナビ 合否使用企業も
しかし、データの提供は内定者の決定前に行われ、合否判定に使うことは可能でした。本紙の取材に対し同社の社外広報グループは「合否判定に使わないというのは紳士協定のようなもの。100%使われていないとは言い切れない。使っていたことがわかって提供を停止した企業もあった」と答えました。
- 2019年8月5日: リクナビ、内定辞退予測サービス廃止 「学生から適切な合意が取れていなかった」 - ITmedia ビジネスオンライン
- 2019年8月5日: リクナビの「同意なしに学生の個人情報提供」はなぜ起きた? 裏には企業との業務提携関係 - ITmedia ビジネスオンライン
- 2019年8月5日: 「17年から一部企業で利用」リクナビ、なお説明不足 :日本経済新聞
- 2019年8月5日: 『リクナビDMPフォロー』における学生7983名を対象としたプライバシーポリシー同意取得の不備と、サービスの廃止につきまして | プレスリリース | リクルートキャリア - Recruit Career
【『リクナビDMPフォロー』の廃止につきまして】
多くの皆さまにご心配やご迷惑をおかけしております状況の中で、『リクナビDMP フォロー』は既に7月31日時点で一時休止しておりました。しかしながら、学生の皆さまの心情に対する配慮不足こそが、根本的な課題であると強く認識するに至り、サービスを廃止させていただくことといたしました。
『リクナビDMPフォロー』をご利用いただいておりました38社の企業の皆さまには、分析スコア等の個人情報の破棄をお願いすることとなり、多大なるご迷惑をおかけしますことをお詫び申し上げます。
- 2019年8月6日: リクナビ、4日で一転廃止 「学生の反発受け止めた」:朝日新聞デジタル
- 2019年8月6日: [独自記事]リクナビが提携サイトの閲覧履歴も取得していた事実が判明 | 日経 xTECH(クロステック)
- 2019年8月7日: リクナビ問題、東京労働局がリクルートキャリア調査 :日本経済新聞
- 2019年8月7日: リクルートはなぜ就活生の「内定辞退率予測」を売ったのか?学生無視した迷走の背景 | BUSINESS INSIDER JAPAN
- 2019年8月10日: リクナビ問題、ホンダがデータ購入 「合否に利用せず」 :日本経済新聞
- 2019年8月15日: リクナビ内定辞退予測、アフラックやりそなも購入 :日本経済新聞
- 2019年8月16日: YKK、リクナビの「内定辞退予測」利用で謝罪 「合否判定には一切使用していない」 - ITmedia NEWS
- 2019年8月16日: リクナビ内定辞退予測の購入、レオパレスが発表 :日本経済新聞
- 2019年9月4日: 大学のリクナビ離れ 「信頼崩れた」就職説明会呼ばず:朝日新聞デジタル
- 2019年9月6日: 厚労省、個人情報活用に厳格判断 リクナビに行政指導 :日本経済新聞
- 2019年9月6日: リクナビに行政指導 辞退率販売、職安法に違反 :日本経済新聞
- 2019年11月26日: 「クッキー」利用に法規制 リクナビ問題受け改正へ :日本経済新聞
- 2019年11月27日: リクナビ問題で新事実、無断で1千サイトと情報共有状態:朝日新聞デジタル
- 2019年12月4日: 個人情報保護委員会:個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について(PDF)
- 2019年12月4日: リクナビ問題、データ利用企業に行政指導 トヨタなど :日本経済新聞
就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京・千代田)が本人に十分に説明しないまま、就活生の「内定辞退率」の予測を企業に販売していた問題で、政府の個人情報保護委員会は4日、辞退率を利用していた企業に指導を出した。トヨタ自動車や三菱商事などが対象になった。リクナビだけでなく、顧客企業も個人情報を不適切に扱っていたと判断した。
解説
プライバシーフリーク:リクナビ問題
- リクナビだけじゃない――不正利用元年に理解すべき個人情報の概念と倫理 (1/6):お天道様は見ている - @IT
- プライバシーフリーク、就活サイト「内定辞退予測」で揺れる“個人スコア社会”到来の法的問題に斬り込む!――プライバシーフリーク・カフェ(PFC)前編 #イベントレポート #完全版 (1/5):自らの業の役割を何と心得るか! - @IT
- プライバシーフリーク、就活サイト「内定辞退予測」で揺れる“個人スコア社会”到来の法的問題に斬り込む!――プライバシーフリーク・カフェ(PFC)中編 #イベントレポート #完全版 (1/5):ハッシュ化したからOKでしょ? - @IT
- プライバシーフリーク、就活サイト「内定辞退予測」で揺れる“個人スコア社会”到来の法的問題に斬り込む!――プライバシーフリーク・カフェ(PFC)後編 #イベントレポート #完全版 (1/4):混ぜるな危険 - @IT
スレッドの最初のツイートへのリンク
リクナビ辞退予測事案は、誤解を恐れずざっくり言えば、「クラウド事業者がデータを抜いていた」系の話だ。もっとも、クラウドといってもSaaSなので、「そういうサービスなんです」という余地はある。だが、当然にデータが抜かれることのないSaaSも世の中には多いので、明確にされていないといけない。
— Hiromitsu Takagi (@HiromitsuTakagi) 2019年8月6日
スレッドの最初のツイートへのリンク
https://t.co/kMkbMxLjcR
— Hiromitsu Takagi (@HiromitsuTakagi) 2019年8月6日
「マイナビも2016年から「辞退可能性」を分析するサービスを約80社に提供…「マイナビ」の履歴は使わず、…エントリーシートから学生個人の特定につながる情報を除いたもの…前年までのデータと比べて測定し、匿名の分析情報として企業に返す。個人情報のやりとりはない。」
スレッドの最初のツイートへのリンク
本件は今後のHRテックの様々な問題の先取り的事案となります。1つは表現の問題、もう1つはHRテックの課題です。https://t.co/w3mf7vTj51
— 三上俊輔 Shunsuke Mikami (@mikamika8375) 2019年8月5日
追記:2019年8月16日
こちらは良いデータ活用事例。リクナビのような個人単位の(本人の)データを本人に適用するものではなく、あくまでも統計量(個人に関する情報でない)を既存の対象顧客の個人データに当てはめるというもの。そしてその統計量を匿名加工情報から得るという事例。https://t.co/u02vv0pMOi
— Hiromitsu Takagi (@HiromitsuTakagi) 2019年8月16日
next49の理解&感想
新聞報道だと「利用者への同意」が問題になっているけれども、そもそも、まともに尋ねたら同意しないとわかっている利用法についてサービス提供者としてどうなの?という感想。
架空の話。大学がベネッセなどの進学事業をしている会社に推薦入試やAO入試の合否参考のために、いろいろな資料を受験生や高校から収集してもらい、その資料から入学辞退率を計算して提供してもらうということをやるとする。
— next49 (@next49) 2019年8月6日