公開データの想定外利用の問題

一律にビッグデータの利用ダメ!というのは逆にダメなのは前提として、冷静にかつ丁寧に議論していかないといけない。

これはサービスを提供しているPMOは問題ないのかもしれないけど、車検情報を提供している自動車検査登録情報協会全国軽自動車協会連合会のデータ利用規約に問題がありそう。PMOの顧問弁護士はそちらの方を調べたのだろうか。プライバシー侵害を懸念する際に「個人情報保護法」でいう個人情報でないから問題ないと主張する組織が相次いでいるのが問題っぽい。

カメラで撮影したナンバーをクラウド上で分析し、自動車が登録されている地域を「町名」や「大字」のレベルまで割り出せるのが特徴だ。「ナンバープレートに記載されている『品川』や『足立』などの情報よりも、一段階詳しい地域が把握できる。商業施設などが来店客の動向を分析する時などに有用だ」とPMO営業統括本部の木村直子エグゼクティブコンサルタントは話す。

IT Pro:駐車場綜研、自動車ナンバープレート解析し「町名」を把握するサービス開始より)

PMOパーキング・アナライザーでは、駐車場の出入り口にカメラを設置し、入出庫する自動車のナンバープレートを撮影。独自の「車番認識エンジン」を利用して画像を解析し、テキストデータに変換して蓄積する。

こうした仕組みは、大型ショッピングモールなどでは既に幅広く使われている。各自動車の滞在時間を把握し、駐車料金の計算などに活用するためだ。料金精算システムとカメラを連動させ、「事前精算を済ませた自動車が出庫する場合、カメラでナンバーを認識して自動的に出口ゲートを開放する」といった運用が可能になる。

IT Pro:駐車場綜研、自動車ナンバープレート解析し「町名」を把握するサービス開始より)

そこでPMOは「自動車検査登録情報協会(自検協)」、そして「全国軽自動車協会連合会(全軽自協)」と提携。国土交通省などが管理する車検情報と、ナンバーの画像を組み合わせて分析できるシステムを構築した。

登録車については、自検協の「自動車検査登録情報提供サービス(AIRIS)」を利用する。法令に基づき、国土交通省の承認を受けた事業者に対して、自検協がインターネット経由で車検情報を提供するもので、「自動車ディーラーなどが車検関連業務を円滑に行うために活用してきた」(木村氏)。全軽自協も同様の仕組みを運用している。

テキスト化したナンバー情報をPMOが自検協、あるいは全軽自協に送信すると、「車検情報として登録されている車種とメーカー名、住所の一部情報を取得できる」(木村氏)。PMOが住所情報として取得できるのは「町名」や「大字」レベルまでで、個人が特定できる「番地」などは含まれないという。「個人情報に該当する情報は、あらかじめ削除したうえでPMOに提供する」(自検協)。

IT Pro:駐車場綜研、自動車ナンバープレート解析し「町名」を把握するサービス開始より)

2013年に「両法人から、自動車の登録情報の提供を受けることができる事業者としての認定を受けた」(PMO)ことから、PMOは新サービスの提供に踏み切った。車検情報をマーケティングに活用するのは珍しいが、「当社の顧問弁護士からも法律上問題ないとのコメントを得ている」(木村氏)という。

IT Pro:駐車場綜研、自動車ナンバープレート解析し「町名」を把握するサービス開始より)

サービスを提供し続ける場合は、JR東日本Suica履歴データの提供を踏まえて自動車検査登録情報協会全国軽自動車協会連合会に早く脇を固めてもらった方が良いと思う。