投票用紙の撮影が禁止の理由は票の売買・投票先の強制防止のためでしょ?

「はぁー?」と思った記事。

インターネット選挙運動が解禁された参院選で、期日前投票をした有権者が記入済みの投票用紙を撮影し、ネット上で公開するケースが相次いで確認された。各地の選挙管理委員会は21日の投開票を控え、「投票所の秩序を乱しかねない」と警戒を強めている。
 静岡県選管に寄せられた情報によると、有権者とみられるフェイスブックの利用者が、静岡選挙区の候補者名を記した投票用紙の写真をネットに掲載。その後、写真は削除された。
 ツイッターでも18日、「卍固め」と書いた投票用紙の写真が流れた。用紙には青森県選管の印があり、投稿者は「投票したぜ」とコメントしていた。卍固めはプロレス技を指すとみられる。
 静岡県内の市町選管には公示日以降、「期日前投票で自分の投票用紙を撮影したい」との相談が複数寄せられたという。県選管は「過去の選挙ではなかったこと」としている。
 自分の投票先を公にするのは違法ではないが、投票所内での撮影行為は「投票所の秩序保持を定めた公選法に抵触する可能性がある」(静岡県選管)。浜松市選管も有権者から撮影の申し出があっても断るよう各区に注意を促した。 (2013/07/20-05:13)
(強調はnext49)

「じゃあ、なぜ、投票所内での撮影行為は投票所の秩序保持を乱すことになるのですか?」と普通に質問されると思うんだけど。がんばれ静岡県選管!私の理解するかぎり投票所内での撮影を許してしまうと票の売買や投票先の強制が容易に行われるようになってしまうため。よく言われている投票の強制方法に以下のものがある

確実な組織票を入れるための、わりあい古典的な不正の手口がある。

まず、バスか何かに乗って、集団で投票所に向かう。

最初のひとりが、ニセ投票用紙を持って投票所に入る。
投票所で本物の投票用紙を受け取る。
こっそり、それをニセ投票用紙にすりかえる。
ニセ投票用紙を投票箱に入れて、本物の投票用紙を持ち帰る。

投票所の外、みんなの監視の下で、
持ち帰った投票用紙に特定候補者の名前を書く。
その投票用紙を、次の人に持たせる。

次の人は、前の人が名前を書いた投票用紙を箱に入れて、
自分が受け取った新しい投票用紙を持ち帰る。

そして投票所の外、みんなの監視の下で、
持ち帰った投票用紙に特定候補者の名前を書く。
その投票用紙を、次の人に持たせる。

次の人はそれを箱に入れ、自分が受け取った用紙は持ち帰る・・・

これで、人が投票用紙に名前を書くところを確認することができるのだ。
A.P.C. socialist's tactics:不正投票のやり方より)

投票所で撮影可能ならば、上記のような手間をかけなくても簡単に投票先の強制を行うことができる。だから、投票所内での撮影は絶対に禁止しなければいけないし、ばれないからと言ってやってよい話じゃない。

明確に禁止した国もある様子。

追記

同じ懸念を持っている方のエントリー

ちなみに以下の懸念事項は、インターネットを使った投票が自治体や国政選挙に導入されない第一の理由となっています。投票者と投票の間の匿名性は秘密選挙においてとても重要なポイントです。

あと、ネット投票って、確実に「投票の秘密」を守れない気がするのですが、どういう仕掛けが考えられているんでしょうね。脳とネットを直接つなげる時代がこなければ厳しい気もします。
投票用紙の撮影は明確に禁止すべきだより)

追記2(2013/07/29)

こんなにカジュアルに投票結果確認しちゃう人たちがいる。

21日投開票の参院選で、組織票を投じられたはずの比例代表候補の得票数が1票だったのは福岡県飯塚市の開票作業にミスがあったとして、産業別労組の「UAゼンセン」(東京)が総務省中央選管を相手取り、再集計を求めて提訴することを検討していることが分かった。

UAゼンセンによると、参院選比例代表に組織内候補として民主党川合孝典氏(49)が立候補し、落選した。飯塚市では開票の結果、似た名前の他候補との案分を含め1.538票を得票したが、UAゼンセン福岡県支部が同市在住の組合員を聴取したところ、15人が投票したことが判明。他党の比例候補に川合氏と同姓が1人、同名も1人いたことから、「飯塚市の開票作業でミスがあった」と主張し、飯塚市選管に再集計を求めた。

だが公選法では比例代表の場合、中央選管の所管となるため、提訴を検討している。飯塚市は「開票作業にミスはなかった」とコメントしている。【佐藤心哉】