赤旗はもっとがんばってほしい

教育や福祉関連の話での共産党の役割はとても良いと思うのだけど、こと軍事や経済となるととても賛同できない。どうも、機関紙「赤旗」はそれ以上にアレっぽい。

日本共産党佐々木憲昭議員は、働く人の所得の減少、社会保障制度改悪による12・7兆円もの負担増など「デフレの原因は国民の家計消費低下による需要の落ち込みだ」とのべ、デフレ不況に対する認識についてたずねました。黒田氏は「さまざまな要因、相互関連の中で物価が下落している」としか答えられませんでした。

佐々木氏は「日銀はずっと金融緩和をやってきた。銀行から先にお金が流れないのは資金需要がないからだ」とのべ、金融緩和策について誤りを指摘。黒田氏は「(資金供給の)増やし方が問題」とはぐらかしました。

佐々木氏は「企業に積みあがった内部留保が『生きた金』として社会に還元されなければ、経済活性化につながらない」とのべ、内部留保を労働者の賃金引き上げに還元させ、内需を活性化させることこそデフレ不況克服の最善策であるとのべました。黒田氏は「企業部門資金強化に走っている」と認めつつも、金融緩和など従来の政策を繰り返すだけでした。

佐々木氏は「金融緩和を続ければ通貨の価値を下落させ、インフレになりかねない」と指摘しました。
破綻の金融緩和に固執 黒田日銀総裁候補が所信 佐々木氏質問より)

不況の結果としてデフレが生じているという認識&不況の原因は家計にお金がないからであり、企業の内部留保を家計に回せという主張は、現実に即しているかどうかは別として理屈は通っている。そして、この理屈の下ならば「デフレをインフレにしても、不況は脱却できない」という主張が自然の流れ。よって、「金融緩和をしても意味がないので止めるべき」と言うのが自然でも、”佐々木氏は「金融緩和を続ければ通貨の価値を下落させ、インフレになりかねない」と指摘しました。”ですって。

本当にこの発言しているならば、佐々木議員は金融緩和を何のために行っているのかを理解していないということ。通貨の価値が上がり過ぎてデフレになっているから、通貨の価値を下げてインフレにしたい、だから、通貨の価値を下げるために金融緩和するというのが現在の日銀人事の焦点。この焦点の部分について理解していないのだとしたら、この共産党の質問は何の価値もない(もちろん、これを焦点とすること自体が間違っているという主張なら筋は通る)。

上記の記事の前半部分からすると明言できていないけど佐々木議員は「不況脱却のためにまずはデフレ脱却するという政策は無意味」という主張をしているように読めなくはない。引用部分最後の記述からすると、この記事の担当者は、そもそも、今回の日銀人事の焦点がなんなのかすらわかっていない。経済に詳しいとか、どういう経済観を持っているのかという問題でなく、時事問題をちゃんと追えていないという証。共産党の機関紙がこれだとまずいんじゃないの?

教育関係や福祉関係で頑張ってほしいので、ぜひ、共産党および赤旗にはもっと社会に興味を持って頑張ってほしい。

以前考えた「どこまで賛成でどこから反対なのか」を整理するためのチェックポイント。

この議論に絡む際のチェックポイント(インフレーションデフレーションインフレターゲット政策の定義は岩田規久男:「景気ってなんだろう」にしたがっている)。

  • 1. 現在の日本は好況期と思うか不況期と思うか?
  • 2. 現在の日本はインフレーション(物価が持続的に上がっている状況)なのかデフレーション(物価が持続的に下がっている状況)なのか?
  • 3. 現在の状況が不況期として、不況期から脱するべきか否か?

ブログや本を読む限り、池田信夫さん、田中秀臣さん、飯田泰之さん、矢野さん、岩田規久男さんは4の論点までは同じ意見であると思う。すなわち、現在の日本は不況期かつデフレーションであり、デフレーション脱却は不況期脱却の一手法であるというところ。

5以降の論点が異なっており、池田さんはインフレーション人為的に起こすことができるけど、インフレターゲット政策ではインフレーションをコントロールできないので、デフレーション脱却(のみ)に使えない。田中さん、飯田さん、矢野さん、岩田さんは6番まで同じ意見。すなわち、インフレーション人為的に起こせ、かつ、インフレターゲット政策でインフレ率はコントロールできる。それゆえにデフレーション脱却はインフレターゲット政策を用いることで行える。

7番以降は田中さん、飯田さん、矢野さん、岩田さんの間でも意見の差があると思われるが、私が読んだ新書レベルの本やブログではそこまでつっこんだ技術的な話は載っていない(正直なところ、私も興味ない。それこそ専門家に任せたいところ)。
リフレ話に絡みたいときのチェックポイントより)

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