中国茶詐欺を行う中国人女性とのおしゃべり記録

上海で中国茶詐欺にやられてしまいましたの続き。

中国茶詐欺二人組の片割れである女性と結構おしゃべりしたので、内容を思い出しながらメモしてみる。詐欺のためのポジショントーク(日本人である私をいい気分にさせる内容)もたくさんあるのだろうけど、結構一人の中国人女性の意見が垣間見えたような気がしたので、メモしておく。というか、これぐらい書かないと2万円騙された価値がない。

彼女の背景

彼女は陳さんと言い、彼女曰く西安の近くの村に住んでいるとのこと。西安は昔の長安。西安は歴史的な都市ではあるけれども、北京や上海と比べれば経済発展はまだまだの都市。

お父さんは毛沢東を非常に尊敬しており、神棚に祭る神様のように朝に夕にお祈りをかかさないらしい。お母さんは専業主婦。二人ともかなりオールドタイプの思考の持ち主とのこと。

陳さんの趣味は麻雀とカラオケ。麻雀は小さいころから始めて今でも徹夜でやるほど好きとのこと。

陳さんの年齢を訪ねなかったけど、同行していた男性の年齢が27歳とのことなので20代中盤ぐらいだと思われる。

政治思想は、中国政府は信用できないし不公平である感じているらしい。共産党はあまり好きじゃないとのこと。

海外渡航について

陳さんが非常に興味を持って何度も尋ねてきたり、語ったりしていたのが海外旅行について。ポジショントークも多分に入っているだろうけれども、日本旅行をすごくしたがっていた。本当の知り合いかどうかわからないが、日本の神戸に彼女の友達がおり、その友達は日本男性との結婚を考えているとのこと。日本に関する情報源はその友達っぽい。中国版Facebookにて、その友達が京都で舞妓さんの恰好をして写真をとっているのをみせてもらった。

陳さん曰く、大都市(上海や北京)在住や役人が親族にいなければ、日本に渡航するための許可証を中国政府から得るのが非常に難しいとのこと。陳さんのように地方在住者は、海外に旅行に行きたくても行けないとのこと。

最近、中国人旅行客の個人旅行が認められるようになり、中間層も日本へ旅行に来れるようになったと私は思っていたけど、まだまだ海外に出にくい(出られない)層も多い様子。ただし、これは日本政府がビザを発給しないのが原因なのか、中国政府が海外渡航を認めないのかのどちらなのかは私はわからない。

タイ、インドネシア、マレーシアは比較的容易に海外渡航の許可が下りるらしい(シンガポールは厳しいと言っていた)。陳さんは10月にタイに1週間旅行しにいくとのこと(たぶん、これが最初の海外旅行)。

この海外渡航が簡単できないという点に、陳さんは非常に憤慨していた。

大都市での就職について

大都市で就職するためには許可が必要であるとのこと(陳さんはIDが必要と言っていた)。陳さんのような地方出身者は、上海で就職したいと思っても、まずはIDを手に入れないとだめらしい。

大学進学について

上記のように、大都市に住むアドバンテージおよび役人になるアドバンテージが非常に強いため、良い大学を出て、良い就職を得る(大学教員になることも含む)ために、中国の若者は大学進学をするらしい。なので、日本の若者が遊ぶために大学に入るという話に陳さんは違和感を覚えていたみたい。

中国では大学に入ったあともずっと猛烈に勉強し続けないといけないとは陳さんの弁。トップレベルの大学はまったくその通り。ただし、中間から下の大学は日本と大差ないというのが私が中国人留学生を20人強みてきた上での感想。

中国女子の服装と若い女子の考え方について

中国茶屋で、二人組の男性側が「以前上海にきたときは、脛まであるながさのスカートをはいていたが、今回上海に来たときは、日々、スカートやパンツの長さが短くなっているような気がする。素敵だね」と言っていた。

それを受けての陳さんの感想。一つはファッションの地方格差について。もう一つは、女子の考え方について。

陳さん曰く、上海や西安中心部では女子は肌を見せた服装(ショートパンツ&ノースリーブ)でみんな歩いているが、陳さんの村(西安からどれくらい離れているのかはわからない)では、そんな恰好では顰蹙をかってしまうのでそんな恰好はできないとのこと。今でも肌を見せない恰好が望まれているらしい。

また、若い女の子はファッショナブルになったが、陳さん曰く頭の中がいまいちらしい。若い女の子たちはお金持ちの愛人になるのが夢らしい。陳さん曰く「理解できない」とのこと。

なので、お金がある人は中国語を学んで大都市にくれば、若い女の子を愛人にできる可能性大であるらしい。

結婚年齢について

中国の地方都市では男性や女性ともに早くに結婚するらしい。陳さんの母親は18で結婚したとのこと。しかも、かなり前から陳さんの父親と婚約させられており、陳さんの父親が20歳になったと同時に結婚したらしい。

今でも、20歳を超えたあたりで結婚するのが当たり前という感覚であるとのこと。北京や上海の大都市では徐々に晩婚化が進んでいるが、中国の地方都市ではそうではないとのこと。結婚相手の女性は若い方が良いという価値観も強いらしい。

陳さんも母親からずっと「結婚しろ」と言われ続けて「来年するから」とここ数年言い続けているらしい。また、中国ではまだまだ親が結婚に対する影響力を十分に行使できるらしい。中国、日本、韓国は欧米とことなり個人が自立していないので、嫌ですねと言っていた。

結婚後の仕事にについて

「結婚したら主婦になってほしいですか?」という話題もかなり盛り上がった。陳さんは結婚したら主婦として家庭に入らなければいけないと自分の母親が思っていることに相当反発している様子だった。陳さんは母親が専業主婦として満足していることに違和感を隠せないらしい。

「私は専業主婦になるのは絶対嫌だ」とは陳さんの弁。まあ、嘘だと思うけど陳さん曰く「ビルの建設会社でOLをしている」とのこと。

私の両親は共働きだったので、そもそも「主婦」という概念がちゃんと理解できていない。母親は、平日および週末に昼間おらず、場合によっては夜もいない(看護婦だったので夜勤があった)というのが当たり前だったので、家にいつも母親がいるというのは不思議だった。中学の時とかは、朝ご飯とお弁当は父親の役割だったし。とまれ。

こういう認識だったので「結婚しても働き続けた方が良いよ。自分が収入得ていないと意見が対立したときに卑屈になってしまうから」と陳さんに伝えたところ、強い賛同をいただいた。

陳さんにとって「自立」「独立」というのは非常に重要な価値観らしい。

日本の若い女性について

日本の女性はファッショナブルでかわいい(「可愛」という中国語になっているらしい)が、TVでみるかぎり「自立」「独立」というのはあまり尊重していないのではないかと疑っていた。

転職について

陳さん曰く「同じ仕事を1〜3年続けたら、別の仕事を探した方が良い」とのこと。中国はアメリカンスタイルな就職。日本の就職したら十数年から数十年勤め続けるというのは、耐えられないと言っていた。なので、「日本の場合は、会社内で転職しているんだよ」「最近は不景気なので、同じ会社に数年しかいられないことも多い」と伝えた。

日本の映画について

宮崎駿の(スタジオジブリ)の映画が好きらしい。トップ3は以下の通り。これは中国茶屋での話題だったので、警戒緩和の話題だったかもしれない。

  1. となりのトトロ
  2. 天空の城ラピュタ
  3. 仮暮らしのアリエッティ

日本のアーティストについて

陳さんはカラオケ好きらしいので日本のアーティストも好きだと言っていた。

  • 宇多田 光
  • SMAP
  • 岡本 マヤ
  • 浜崎 あゆみ
  • AKB

AKBが列挙されていることに、この人本当にカラオケ好きなんだろうなぁと感じた。ちなみに好きな芸能人は木村拓也とのこと。

日中間の政治について

尖閣諸島問題や南京大虐殺の問題、靖国神社参拝などの話で日本と中国には難しい問題があると言っていた。日本政府と中国政府の仲はあまりよくないが、日本人と中国人は仲良くしましょうと言っていた。

まあ、「じゃあ、騙さないでよ」と私が思うのは後知恵。

政治家について

野田総理、管元総理、枝野元官房長官石原都知事のフルネームをメモ帳で示されて「彼らは好きか?」と尋ねられた。陳さんは枝野元官房長官は好きらしい。石原都知事は日本と中国の仲を悪くしようとしているから嫌いとのこと。

中国政府の報道が信用できないことについて

東日本大震災の話題から、四川大地震の話題になったときに「四川の一都市に700万人いるというTVニュースの報道にびっくりした」と感想を述べたら「TVニュースは本当のことを言わないから気を付けた方が良い」と注意された。

例として挙げられたのが中国の新幹線脱線事故。最初は30人の死者と言っていたのに結局は一桁違う300人の死者だったそうな。これは陳さんともう一人の男性も口を合わせて「信用できない」と言っていた。

本当の中国について

泰康路の写真展を冷かしていたときに、上海の路地裏の写真を指差して「これが本当の中国の姿で、上海のきれいなビルとかは本当の中国ではない」と説明された。中国は貧富の差が非常に激しいというのも何度も説明された。

日本人の外面と内面が違っていることについて

日本人は表に出している表情や振る舞いと内心思っていることが食い違っているというけど本当か?と尋ねられた。中国人もそうなのだという説明をしていたのだけど、私の英語力がつたないのであまりわからなかった。

おわりに

3時間近く、一緒にいたので結構しゃべったのではないかと思う。どこまで本当の話で、どこから作り話なのかわからないので、話半分としてお読みいただければ幸いです。