米国には博士号持ってる清掃作業員が5000人いるの記事にショックを受けている人が多いようだけど、結構前にそれと反するデータをみたなぁと思って検索したらあった。
そのデータの一つは、アメリカ労働局が先日発表した【Education pays ...】というもの。「教育は人生に恩恵を与える」とでも訳すのだろう。大きく描かれたグラフには、2008年におけるアメリカの学歴毎の失業率と、週当たりの稼ぎの中央値が描かれていた。
最高学歴の博士学位の失業率が多少上がっているのがクセものだが、概して高学歴ほど失業率が低く、収入も多いという結果が出ている(上にいくほど高学歴)。博士学位と高卒未満との間では失業率で4.5倍、収入で4倍近くもの差が出ている。
先日紹介した「生活の質の高い都市ランキング」のモトデータは非常に優れものです。そこから引っ張ってきたデータから、学歴と都市圏別年収の関連を探ってみました。
- 全米67大都市圏の25歳以上大卒比率でラング付けしたのが下記の表です。大卒比率とその都市圏の世帯年収がかなり連動しているのが見受けられます。
- 右端のデータは修士号以上の比率ですが、ここからも学歴と年収の関連がかなり明らかです。
- 米、学歴別25歳以上の失業率(10年7月)を見ると、大卒4.4%、高卒+短大8.2%、高卒10.3%、高卒未満14.1%です。学歴が低いほど高失業率にあえぐ傾向が明らかです。
- 今後10年で増加する職の約半数(710万)は大卒向けの管理職、残りの半数は低給与サービス業。ほどほど給与の製造業の雇用増加には期待できないので、低学歴者は給与の低いサービス業に甘んじる可能性が大きい。
博士号持ちの私は「博士号を持っている人ならば、必ず平均収入以上の収入を保証する社会」をとても強く熱望するけど、どう考えてもそんな社会は不公平だ。なぜならば、博士号はその人が失敗をしない/不正をしない/バカなことをしないということを保証しない。博士号が保証するのは、基本的な研究遂行能力を持っていること、ある分野においてある程度の専門知識を持っていることだけ。それなのに、博士号を持っている人ならば、必ず平均収入以上の収入を保証するというのはどこかにごまかしがある。そのごまかしを受け入れると別のごまかしをうけいれないといけない。それは巡り巡って自分にとって不利になるから嫌だ。
でも、できれば、アメリカのように学歴があがるほど失業率が低くなってほしいところ。奨学金制度や社会人学生の制度が整ってくれば、学歴は個人の自由意志で変更可能であり、家柄や親の資産によって収入が異なる社会よりもよっぼど素敵だ。