どっちが良いかというのはアーキテクチャの問題なのか、費用対効果の問題なのか。そもそも、こんな区分が意味無いのか。
リンク:島崎 眞昭, スーパーコンピュータ入門 in CiNiiを見る限りだと、ベクトル処理というのがベクトル演算に関する処理で、スカラー処理がベクトル処理以外の処理。全てのプログラムはベクトル処理+スカラー処理でなりたっているので、どこかでスカラー処理を行わなければならない。ベクトル演算器はハードウェア的にベクトル処理を高速に行えるようにしたものなので、スカラー処理の部分は扱えない(ここいらへんは知識が足りないので断言できないが、少なくとも性能はフルに引き出せないはず)。
なので、ベクトル計算機といわれているものにも必ずスカラー処理を行う演算器が内蔵されている。たぶん、スカラー型計算機といわれているものは、ベクトル処理をスカラー処理を扱う演算器で計算させているもののことを指しているのだと思う。なので、二つのスパコンが示す日本の二つの未来 - 池田信夫でベクトル型とスカラー型のハイブリッドに関して批判をしているけれども、そもそも、ベクトル型計算機が生まれた時点でハイブリッドになっているはず。
一方で、次世代スーパーコンピューティング事業に対するカウンター事例として取り上げられているスパコン開発で「ゴードン・ベル賞」 長崎大助教ら受賞 「国内最速」安価で実現の話は、グラフィック描画用に特化したチップであるGPUを並列につないで実現した例。GPUはベクトル処理に特化したチップである。GPUが安い理由は、一般のPCのグラフィックボードとして売られている市販品だから。
このGPUを並列につないでスーパーコンピューターを作るというアプローチは、スーパーコンピューティングの専門家ではない私の理解からすると、ベクトル計算機でスーパーコンピューターをつくるというアプローチと変わらないように思える。そうすると、「スカラー型計算機を並列につなげたらいいんじゃない?」というのは単に費用対効果からでてくる意見ということになるような。