情報処理学会の提言:行政刷新会議事業仕分けについての意見

良く提言出した、すばらしい。来年も会費払うからね!

でも、このぐらいの説明では「『次世代スーパーコンピューティング技術の推進』事業、次世代スパコン・プロジェクト”凍結”を深く憂慮する」には賛同できない。

スーパーコンピュータの開発技術は情報技術の粋を集めたものである。高速半導体プロセス、高性能プロセッサおよび広帯域光ネットワークなどのハードウエア関連技術だけでなく、並列処理技術、大規模データ処理技術、大規模システム構築技術、高性能科学技術計算技術などのソフトウエア技術までも含む総合的な計算機システム技術の最先端にあり、その研究開発は計算機科学全体の発展に大きく貢献する。それゆえ、スーパーコンピュータはこれまで「国家基幹技術」として、利用技術および構築技術の両面で研究開発が推進されてきたものである。

ハイパフォーマンスコンピューティングにおいては、ハードウェア特性にあわせたコンパイラのチューニングやプログラミングがとても重要であることはわかるけれども「その技術を発展させるために国産ハードウェアを使わなければならないのか?」というところに疑惑をもたれているので、ここを払拭する発言をするか、あるいは、このプロジェクト自体の必要性を強調して、実現方法は再検討するべきであると促すかのどちらかにしないと。

あと「高速半導体プロセス、高性能プロセッサおよび広帯域光ネットワークなどのハードウエア関連技術」のどの部分だけが国内生産だけでまかなえているのかも説明が必要。あと、可能ならば、これを国内生産することによって、どういう人材が育つのか、その人材はどの分野で必要とされているのかを説明した法が良い。

この当たりの具体的な説明は、火中の栗を拾うことになり、とても厳しいと思うけど、「ハイパフォーマンスコンピューティング研究会」あたりに現在のスパコンの現状と趨勢、次世代スパコン・プロジェクトの目的、実現方式、運用について専門家視点からの評価して欲しい。

これを来週頭ぐらいまでに情報処理学会が公表できたら、今後、こういう計算機系のトラブルがおこるたびに情報処理学会の提言が注視されるようになり、学会のプレゼンスがあがる。学会のプレゼンスがあがれば、次に来る行政仕分けにおいてある程度の発言力が維持できる。

明らかにとんでもないしがらみがあると思うけど、現執行部の方々に強権発動して(ハイパフォーマンス研究会の幹部に「現執行部が脅すから仕方なくやりました」という言い訳を用意してあげて)、命じて欲しい。

次世代スパコン・プロジェクトは、高性能計算資源の必要性、それの入手方法、それの利用方法がごちゃごちゃに議論されているので科学予算のイコンとするには筋が悪い。ここは、情報系学会で早めに穴をつぶして、Spring-8とか科研費とか運営交付金とかイコンにしやすいものにシフトさせたほうが良いと思う。