町の本屋の位置付けを考える

一日一喝:「正当な」価格なんかない - ビール・発泡酒の値上げ問題についてで紹介されている新・強い店・楽しい店・儲かる店:脱・宅配の酒販店経営の記事を読んで、これって本屋さんにも援用できるのではないかと考え、ちょっと考察。

上記の記事ではお酒を家に常備しておく「買い置く酒」、買ってすぐ飲む「そのときの酒」に分けて説明しています。記事では、買い置く酒は安売り店にシェアをとられ、そのときの酒はスーパーやコンビニにシェアをとられている現在、酒屋は「そのときならではの酒」を客に勧めることで生き残りを図ってみてはいかが?と提案しています。

また、現在の売上75%のアイテムをピックアップし、そのアイテムを売るスペース、現在の「そのときの酒」と関連商品を置くスペース、将来の「そのときの酒」にしたい商品を置くスペースの3つに分け、将来への布石をしつつ、継続的に商品構成を変えなさいという助言をしています。

現在の町の本屋さんにとって、買い置きの酒にあたるのは「雑誌」「コミック」であろうと思います。一方、そのときの酒にあたるのは「ベストセラー(新刊)」「成人向け書籍」にあたるのだと思います。多くの町の本屋さんにとって、売り場面積から考えると、「雑誌」「コミック」「ベストセラー新刊」「成人向け書籍」の5つで売り場のほとんどが占領されている状態であると思われます。

しかしながら、上記5つの本は、雑誌、コミックの売れ筋はコンビニ、スーパーで売っており、成人向け書籍はアダルトビデオ・DVDショップなどで売られています。すなわち、競合する異業種店舗が存在します。ベストセラー(新刊)や売れ筋ではないコミックに関しては、インターネット書店Amazon紀伊国屋、ヤマトブックサービス)、大型書店にかなうべくもありません。つまり、売り場面積のほとんどを上記5つの書籍に使用しているのにも関わらず、これらのシェアは異業種店舗や大型書店に取られてしまっていると考えられるのです。

やはり、町の本屋さんもそのときならではの酒を客に提示すべきであると思います。この参考になる話が以下の記事に書いてありました。

ほぼ日刊イトイ新聞:新しい本屋さんの考え。

bk1:★★★bk1店長対談シリーズ★★★糸井重里の巻

特に参考になる部分は「第3回 本の「本籍」と「現住所」。」ここだと思います。

上記記事で述べられていたのですが、町の本屋の利点は「簡単に一巡りでき、一覧性に優れる点」とあります。この利点を利用して、本の内容を店員が判断し、関連付けして、客にセットとして提案するということを行うこと、言い換えれば、お客さんが思いもつかなかった本をお客さんに提示し、お客さんの頭をストレッチしてあげるのが、町の本屋さんの「そのときならではの酒」であると思います。

私の考える町の本屋さんの位置付けは、「頭のストレッチ屋」、もしくは、「本の発掘屋」です。