こんな市名はもういらない!

こんな市名はもういらない!

主題は、地名は場所特定機能が最も重要な機能であるのだから、新市名や新区名をつける際にはその土地の伝統的・歴史的地名を使用するべきであるというものです。この主題を裏付けるため、実際に場所特定機能を失った地名の例を数多く紹介しています。また、どのような基準で新市名や新区名を名づけるべきかも述べています。主題には賛成でき、記載されている例、紹介されている著者の知識も面白かったのですが、主張の展開が感情的であまり好きではありませんでした。

本書の主題は、場所特定機能の維持という点から書かれていますが、災害被害軽減のためにも伝統的・歴史的地名はできる限り維持すべきであると思います。よく、さんずいのつく地名は、水害に遭いやすいと言います。本書によれば、地名は5つの由来に分類できるとのこと

1. 中心部の郡、郷名を採用
2. 特徴的大地形から命名
3. 中心部付近の小地形の特徴から命名
4. 位置関係から命名
5. 官職から命名

さんずいのつく地名は3由来の地名である可能性が高いと考えられます。

また、地震や火山の噴火などは周期的に起こる可能性が高いものですから、古文書などの過去の記録と照合し、周期や前回の被害、起こった状況などを知る必要があります。この際に、古文書に載っている地名と現在の地名が異なるのでは処理が大変です。この観点からも歴史的・伝統的地名を保存することは意味があると考えられます。