官僚主義を悪化させるのは我々である事例:東京都若年被害女性等支援事業の変化

すごい、がっかりさせられる話。明らかに東京都側が面倒を嫌い、若年被害女性等支援の目的ではなく、トラブル減少を目的にした運用の変更が原因。

毎日新聞:Colaboの支援活動、寄付金で継続 都への補助金申請を断念
mainichi.jp

一般社団法人「Colabo(コラボ)」は1日、虐待や性暴力を受けて家に居場所がない少女らを支援する活動について、寄付金で継続すると発表した。これまで、公的な事業として展開していたが、東京都による新事業の枠組みでは、「安心した支援につながらない」として、補助金の申請を断念したという。

朝日新聞:「支援、成り立たない」 Colaboが都の事業内容変更を批判
digital.asahi.com

都は今年度、虐待や性暴力被害を受けた女性を支援する事業を、従来の委託事業から補助事業に切り替えた。コラボは昨年度まで委託を受けていた。

事業の実施要綱によると、補助事業になったことで、都から求められた場合、個人別の支援記録などの開示が必要になったという。これまでコラボは都から個人情報の提示を求められた際は、利用者との間で守秘義務が解除されている場合に応じてきた。

仁藤夢乃代表は「(コラボが支援する)少女たちは幼い頃から児童相談所や学校にSOSを出した経験がある子がほとんどで、そこで適切な対応を受けられなかったために、行政や大人に不信感を持っている。『民間団体に相談したら都に個人情報が提供される』ということになっては、支援は成り立たない」と話し、事業内容の変更について「支援の本質が変わってしまう」と批判した。

東京都若年被害女性等支援事業のページに昨年度(2022年度)の実施要項と今年度(2023年度)の実施要項がある。
www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp

大きな違いは「令和5年度東京都若年被害女性等支援事業実施要綱」の様式3「個人別支援記録」の作成と都への開示を求めている点。Colaboは領収書についても若年被害者女性の個人情報開示を避けるために都への開示を拒んでいるのだから、この要項は受け入れられないのは当然のこと。これって、まさに若年被害者女性支援の肝の部分なのでは?(だから、地方自治体が直接支援しづらい点なのだと思う)。以下のような方法で支援している団体なのだし。
www.jprime.jp

国防とか外交と同じように秘密にしなければいけない部分と透明性を保たなければいけない部分の塩梅が重要な話なのだから、塩梅を調整する立場の人や組織が事なかれに舵を切ると良い話にはならない。

追記:地方自治体への個人情報共有を懸念する事例(2023年6月9日)

DV加害者の夫に避難先の住所記載書類を送付 熊本市 女性の「支援措置」も拒否、訴え聞き入れず
kumanichi.com

夫のドメスティックバイオレンス(DV)から逃れて熊本市に移住した女性に対し、市が住所の閲覧制限などの「支援措置」を断り、避難先が記載された納税関係書類を夫の求めに応じて送付していたことが8日、分かった。女性は転居を余儀なくされたが、市は「対応に違法性はない」としている。