そもそも公文書管理が杜撰だった

記事の主旨に異論はないけど、今回の件で低下したんじゃなくてそもそも基準に達していないらしい。
www.nikkei.com

そもそも日本は公文書を軽んじてきた過去がある。1972年の沖縄返還の際に結ばれた日米の「密約」に関する文書は、日本では廃棄されたとされるが、米国立公文書館は密約を示す文書を公開した。1969年には日本と西独が「超大国」への脱皮を念頭に軍事協力を探った。核武装を含めた議論があったが、このことを明らかにしたのはドイツの外交資料だった。

学術研究には信頼性の高い文献の集積が極めて重要だ。日本の公文書の充実度合いがさらに下がり、確かさも揺らぐようなら、グローバル水準の歴史探求ができなくなることを意味する。特に文系科目の世界ランキングで下位に甘んじる日本の大学には逆風となる。

以下のエントリーで引用した部分を再度引用。
next49.hatenadiary.jp

昨今のPKOの日報問題、森友学園問題、加計学園問題など「公文書管理」が問題となっているところ、今回の記事に「奈良岡聰智:よりよき公文書管理制度のために ― イギリスとの比較に基づいて」というのがあり読んでみた。

初めて知って驚いたのは立法文書(国会関連文書)が公文書の対象になっていないという点。

立法文書に関しては、わが国では情報公開法、公文書管理法の適用対象外とされている。国会は、議事録については、帝国議会期のものも含めて、すべて冊子(官報)およびインターネット上で公開しているが、それ以外の保有資料については、ごく一部を衆議院憲政記念館や参議院議会資料室で公開しているのみである。所蔵資料の統一的目録が存在しないため、いかなる資料がどの程度残存しているのか、外部からは明らかでない。

(p. 127より)

この記事ではイギリスの公文書管理について紹介しているのだけれども、イギリスの場合は保守党および労働党が党の文書を公文書として公開しているとのこと。

そもそもの公文書館の所員数も少ないらしいし。司書とアーキビストは違うとは思うけど合い通ずる所もあると思うので、大量の司書課程卒業者を吸収できる就職先として公文書館が揃って欲しい。図書館、公文書館、博物館・美術館・動物館などが実務の根拠だけでなく、フィクションのネタ、観光のネタになるのだと思うし。

もっとも、わが国の公文書管理制度は、他の先進諸国に比べればまだ「周回遅れ」という感が否めない。端的に言えば、日本の公文書館の規模は、諸外国に比べて著しく見劣りしている。職員数だけを見ても、日本の国立公文書館(47人)は、アメリカ(2720人)、ドイツ(790人)、イギリス(600人)などの欧米先進諸国は言うまでもなく、韓国(340人)など東アジア諸国にも大きく水を開けられている(2008年の国立公文書館の調査による)。また、2014年に内閣府が実施した調査によれば、協力した地方公共団体914中、公文書管理の条例化を行っている団体は88(4都道府県、84市町村)、公文書館を設置している団体は80(28都道府県、52市町村)にとどまっている。

当該記事の冒頭部より)

隣のアメリカの大統領選でヒラリーさんがさんざんメール問題でいろいろ言われていたのに、財務省がメールの保管期限とかで問題ないとしちゃんだものなぁ。