「アステイオン 86巻(2017年5月)」をご恵贈いただいた

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昨今のPKOの日報問題、森友学園問題、加計学園問題など「公文書管理」が問題となっているところ、今回の記事に「奈良岡聰智:よりよき公文書管理制度のために ― イギリスとの比較に基づいて」というのがあり読んでみた。

初めて知って驚いたのは立法文書(国会関連文書)が公文書の対象になっていないという点。

立法文書に関しては、わが国では情報公開法、公文書管理法の適用対象外とされている。国会は、議事録については、帝国議会期のものも含めて、すべて冊子(官報)およびインターネット上で公開しているが、それ以外の保有資料については、ごく一部を衆議院憲政記念館や参議院議会資料室で公開しているのみである。所蔵資料の統一的目録が存在しないため、いかなる資料がどの程度残存しているのか、外部からは明らかでない。

(p. 127より)

この記事ではイギリスの公文書管理について紹介しているのだけれども、イギリスの場合は保守党および労働党が党の文書を公文書として公開しているとのこと。

そもそもの公文書館の所員数も少ないらしいし。司書とアーキビストは違うとは思うけど合い通ずる所もあると思うので、大量の司書課程卒業者を吸収できる就職先として公文書館が揃って欲しい。図書館、公文書館、博物館・美術館・動物館などが実務の根拠だけでなく、フィクションのネタ、観光のネタになるのだと思うし。

もっとも、わが国の公文書管理制度は、他の先進諸国に比べればまだ「周回遅れ」という感が否めない。端的に言えば、日本の公文書館の規模は、諸外国に比べて著しく見劣りしている。職員数だけを見ても、日本の国立公文書館(47人)は、アメリカ(2720人)、ドイツ(790人)、イギリス(600人)などの欧米先進諸国は言うまでもなく、韓国(340人)など東アジア諸国にも大きく水を開けられている(2008年の国立公文書館の調査による)。また、2014年に内閣府が実施した調査によれば、協力した地方公共団体914中、公文書管理の条例化を行っている団体は88(4都道府県、84市町村)、公文書館を設置している団体は80(28都道府県、52市町村)にとどまっている。

当該記事の冒頭部より)

他にも特集が「権力としての民意」という貴族趣味なにおいを感じさせる特集名なので後で読む。