研究が好きでないなら博士課程に行くのはお勧めしない

(2015年版)博士進学が決まったあなたが今すぐに始めるべきこと - 発声練習id:lloyzさんから相談いただいた。

初めまして。博士課程に行くか、就職するかどうか悩んでいろいろ検索していたら、このサイトに当たりました、修士1年のものです。理系の実験系です。この質問はこの記事の内容から外れてしまいますが、ご了承ください。

この間、指導教員と将来のことを話したのですが、指導教員の方から、研究者にはならなくてもいいから博士課程まで行ってほしい、と言われました。その理由を尋ねましたら、あなたには自己主張が足りない、修士の間では自己主張できるように教育は出来ない(博士までの間だったら教育できる)、就職したらそういった自己投資は出来なくなる、と言われました(その後に、辛いことがあったらいつでも言いに来て、とも言われました)。私としては、大学院に入ってからは、精神的にまいることが多くなってきて(涙が出る回数が月に一度くらいです)、その度に研究やめたい、と思うことが何回もあります。研究者になる気持ちは全くありません。また、研究室では、人手不足のせいか、博士課程の人らが、研究や実験装置の管理等で忙しそうな様子を見てますと、私には到底出来ない、と考えています。

この場合、自分が自己主張できるようになるまでのモラトリアムとして博士課程に行くのは有効な手段なのでしょうか?それとも、就職してからでも、自己主張できるようになれるものなのでしょうか?
もうすぐ就活が始まりますので、お忙しいところすみませんが、一度ご意見をお聞かせ下されば、と思います。

理工系の場合、修士課程までは就職などに負の影響与えませんが、博士課程に進むとてきめんに負の影響がでてきます。このため、本人が「博士課程で**をしたい/得たい!」というポジティブな要素を持たない限り、博士課程にいっても素敵なことにはならないと思います。

まず、現実的な問題として博士課程の後の進路を検討した方が良いと思います。具体的には以下を行ってみてはいかがでしょうか。

  1. 自分の分野の博士号取得者に民間企業から求人があるかどうかを確かめる(大学、学科、専攻に届いている求人票を見てみてください)
  2. 自分の分野のアカデミックポストおよび企業・国公立研究所のポストにはどんなものがあるか調べてみる
  3. 自分の所属専攻の博士号取得者の進路を調べる

続いて、博士課程に在籍している間の学費や生活費がどれくらいかかるか試算し、どうやってそれらを賄うか検討した方が良いと思います。もちろん、親に払ってもらうというのも立派な選択肢です(あるいは、親に借りる)。

最後に、博士課程に進んで「自己主張の訓練」以外にやりたいことがないかどうかを検討してみた方が良いです。個人的には、自己主張の訓練ならば、修士の残り1年強を費やせば結構できるようになると思います。