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説明できるようになるための第一歩

発声練習

まとめ

  • 説明できるようになるための第一歩
    1. 自分の考えをはっきりさせる
    2. 自分が使っている用語が相手に伝わらない可能性があることを認識する
  • 第二歩
    • 定番の説明技術を学ぶ

はじめに

どうやったら説明がうまくなるのか?研究室の学生から質問された。また、ひらめき箱:しゃべるのがあんまり得意でない人って思考回路が最適化されている が大人気なことにちょっとひっかかるものがある。何かうまく自分の考えを説明できないことを肯定してくれることにすごくほっとしている人たちが多いというのが、それでよいのかなぁという気分になっている。

他人にわかる説明をするための技能

自分の考えを他人にわかる説明をできるようになるには以下の3つができていないといけないと思う。

  1. 自分の考え・主張をはっきりさせられる
  2. 考えたことをみんなが使う用語で表現できる
  3. 相手の理解度にあわせて説明の仕方を変えられる

自分の考え・主張ははっきりしている?

自分の学生時代、そして、教員となって指導するようになって気づいたこと。それは、卒論生でうまく説明できない人は、そもそも自分の考えをはっきりとさせられていないこと。自分が何を考えているのか、自分が何を主張したいのか自体が明確じゃない。

みなさんも経験あることだと思うけど、案外、自分が話したいことが自分でわからないということが多い。雑談ならば別として、何かを相手に説明したいならば、少なくとも自分自身は説明対象を明確にしていないといけない。

じゃあ、こんなこと書いている私はどうかといえば、私も話しながら、書きながら、自分の考えを明確化していくので、私の話を聞かされる方にしてみると面倒な話し手だろうと思う。このエントリーも先に私的メモ:説明上手になるためにとして垂れ流している。

説明しなれていると大丈夫だけれども、新しく説明することについては、考えや主張をまとめる時間が必要。もちろん、自分の考えをはっきりさせるための時間は訓練(経験)により短くすることが可能だけど。

「みんな」が使っている用語で自分の考えを表現している?

自分の考えがはっきりできている人がひっかるのが「言葉が通じない」という状態。会話しているもの同士が同じ言葉を使わなければ、相手の話を理解できないのは当然の話。Aさんが使っている「正しい」とBさんが使っている「正しい」が違う意味であるならば、会話が通じているようで通じていない。

自己主張できるけれども、説明が下手くそな学生はこれにひっかかる。何かを一生懸命説明しているのだけれども、自分定義の言葉で話すので何を話しているのかを聞き手が理解できない。日本語を話しているからといって、話している内容が通じるとはかぎらない。たとえば、論文において自作用語を使うときに注意すべきことで書いたようなことを注意していない。

また、そもそも、自分が発する言葉を聞き手が理解できないということを認識できていないということも多い。半径5m議論だけど、日本の学生は小学校から中学校まで同年代だけで集められ、同質性を高められているため、背景をすり合わせる段階から会話を始める経験が少ない。

たとえば、友達同士の最近の話題がモンハン3rdなら「もう、買った?」「買ってない」だけでモンハン3rdを買ったかどうかのやりとりが済んでしまう。しかし、上記の前提を共有していなければ何を買うのかはわからない。

さらに、日本の文化として感情を「共感」してもらうのが強調されるため、理詰めで自分の状態を説明する、あるいは、相手の状態を質問で明らかにするという経験が少ない。共感で会話が済む場合や背景や前提知識が共有している場合では、自分が用いる言葉が相手にちゃんと通じるかどうかを配慮する必要はない。むしろ、「あの映画楽しかったのよね」「うん、どこが?」を友達同士でやると喧嘩開始の合図とされる。

新聞や本を読まない人が説明下手の傾向にあるのは、自分の頭の中に浮かんだ考えを表現するための語彙が少ないからであると思う。新聞や本は、相手に伝えることを目的としたものであるので、ある程度良く使われる言葉が選ばれている。自分の頭に浮かぶ100の事柄を表す表現が「チョーやばい」しかないなら、なにしゃべっても「チョーやばい」しか出てこないのは当たり前の話。

説明方法はたくさんある?

相手に伝わる用語を使って自分の考えを説明できるようになったとして、次の段階は、相手の理解度に応じて説明のやり方をかえられること。池上彰さんは、この説明の仕方を変えるのがうまい。大御所の研究者の先生方が中学生にもわかるように研究の説明をできるのはこの技能に長けているため。

相手の理解度に応じて説明の仕方を変えるためには、自分の説明したい事柄の本質を把握していないといけない。どの部分が本質でどの部分が表現なのかを区別できなければならない。初級者は本質と表現の区別が付かないので自分が覚えた説明しか繰り返すことができない。自分の考えの本質をつかんでいる人は、抽象的にも、具体的にも、たとえありでも、たとえなしでも、適切に説明できる。

説明ができるようになるための第一歩

説明能力を先天的なものと捉えるのはやめて欲しい。これは文章能力も一緒。ある程度までは、訓練でどうにでもなるはず。

どんなに説明が下手だと思う人でも、自分と同じ背景を持ち、自分の話をじっくりと聞いてくれ、気軽にわからないことを問い返せる状況なら、何でも説明できる。ということは、背景をすり合わせる、じっくり聞いてくれるように頼む、わからなかったら遠慮なく尋ねて欲しいとあらかじめ準備しておけば、説明はできるはず。

説明ベタな人が説明がうまくなるためには、まずは「自分の考えをはっきりさせる」「自分が使っている用語が相手に伝わらない可能性があることを認識する」が第一歩だと思う。第二歩は、説明の定番技術を身につけること。

誰もが説明の達人になれるわけでない。でも、誰でもある程度のまでは説明できるようになれる(はず)。説明が下手なことを恥じなくても良いと思うけど、説明が下手なことについて諦めないで欲しい。説明ができるようになったほうが、自分も周りの人も幸せであると思う。

説明の定番技術を学べる本

世の中にたくさん出回っていると思うけれどもいくつか紹介。

自分が説明の訓練を受けてこなかったことを理解するために以下を読んでみてはいかが?