- 大阪市:特別区設置住民投票:各区別の男女別投票者数、有権者数、賛成票数、反対票数が提示。5/18現在は年齢別投票率および賛否はでていない。
- 大阪市:年齢別推計人口:各区の年齢別推計人口がダウンロードできる
- 産経新聞:出口調査は「賛成51・7%」…せめぎ合う賛否、最終盤に賛成派追い上げ:出口調査。政党別指示状況
- 朝日新聞:20・30代は6割賛成 都構想 朝日・ABC出口調査
以下、クリップ。
世代格差等についての議論は否定しませんが、あのグラフを元に今後、どのような議論もするべきではない、と私は思います。
青が「賛成」、赤が「否定」である。投票総数で観ると、賛・否の差は総数でわずか1万票強足らずで大差ないが、地域別に見てみるとはっきりとその地域差に傾向があることがわかる。一目瞭然のように、大阪市北部は「賛」、大阪市南部は「否」と区分されている点だ。
〜中略〜しかし、一般的には、所得の高い地域の層、つまり比較的生活に余裕のある層は、橋下氏の訴えたような改革的な風潮に一抹の心地よさを感じたことであろう。一方、所得の低い地域の層、つまり生活に余裕の無い層は、実際的な「都構想」の実効性はともかく、何事にも「急進的改革」には拒否反応を示すのは、古今東西の歴史が示すとおりである。
そして民主主義の根幹、統治者と被治者の一致において最も重要なのは、「私たち」をシュミット的な「敵・友」に分断させぬよう、どうにか合意形成を探ることだ。もちろんそれは果てしなく面倒くさくて楽しくないうえ、劇場性に欠けるのだけれど。
〜中略〜だが人の命を保護するのは、民主主義というよりは、むしろ立憲主義のほうだろう。ルワンダ・ジェノサイドのように、人が少数派に属するだけで合法的に虐殺されることは、人類史には結構ある。だから多数派に好き勝手させない立憲主義的抑制が大事、つまり憲法とそれを尊重する文化が大事、ということだ。
NHKの出口調査を見る限り、賛成票は30代が一番多く、それ以上の世代では徐々に反対票が多くなり、70代では反対派が多数派になるようです。20代も30代より反対票が多いのも特徴です。これをみて「シルバー民主主義」「若者の敗北」と評論する向きもあるようですが、大阪市の解体が若年層を利するものとは言えないはずで、評価としては単純すぎる気がします。20代の反対が30代より多いことの説明も的確に出来ないように思います。筆者の体験からしても、子供を持ち、育て、定住して地域につながりを持ち、自らも老いていく中で、地方行政との関わりが強くなっていくので、今回の課題で年齢が上がるほど反対票が増えるのはそれほど不可思議なことではないと思います。一言で言えば、学校を卒業した後、地域に根を張り始める前の若年層は地方自治との利害関係が薄いのです。
むしろ、筆者には、大阪市の中心部の区では総じて賛成が多数派で、尼ヶ崎寄り、海側、南側など、大阪市の周辺部で総じて反対票が多いことの方が印象的です。これが、改革により利益を得る可能性の高い(維新のCMを見れば分かりますが、大阪都構想で描かれる未来は大規模開発による未来です)市内中心部の強者と、置いて行かれる可能性の高い周辺部の人々、という構図を示しているとすれば、大阪市民は、それぞれの地域で、それぞれの利益に沿った妥当な判断をしたことになるでしょう。
そして、大阪都構想を否決したからと言って、大阪市が現実に抱える課題が何も解決しないのも事実です。筆者の住む京都もそうですが、地方の疲弊は凄まじいものがあり、大阪市も引き続く地盤沈下にどう対処するのかが重い課題なのです。しかし、筆者は、これに関して言えば、問題点をあぶり出し、不十分ではあっても、全市民的に議論をした大阪市民をちょっと羨ましく思っています。「問題の解決に近道はない」と分かったところから真剣な議論が始まると思うからです。
(渡辺輝人:大阪の住民投票結果から見えるものより)
記者会見の時に大阪都構想について聞かれたのですが、私は橋下知事が大阪府と大阪市の二重行政の解消に向けて積極的に取り組もうとしていることは評価しています。
また、自治体の役割分担や権限移譲といった、非常に重要な課題であるにも関わらず、自治体関係者や政治家以外、殆どの国民が関心を持っていなかったことについて国民的議論の的に持っていったことも大変感謝しています。ただ、何度か申し上げているように市の権限を奪って都道府県に移すというのは地方分権の流れに逆行するものであると言わざるを得ません。
実際、政令市は都道府県が行う業務の大半を行っています。二重行政を解消するのであれば大半を行っている政令市の方に残りの業務を移した方が効率的であるはずです。
〜中略〜いずれにしても大阪都構想はリスクがあまりに大きすぎる割にはそこまでメリットの無い、非常に非効率な手法に思えます。
冒頭に申し上げたとおり、大阪府と大阪市という特殊な二重行政の問題を解消しようとする着想は大変素晴らしいと思いますので、敵だ味方だというような話をするのではなく、十分に議論を深めていくべき話と考えています。
(千葉市長:熊谷俊人の日記: 大阪都構想についてより)