アジアインフラ銀行(AIIB)が欲しい理由がわかる気が

論文指導がしなきゃいけないんだけど、やる気がおきなくて買ったばっかりの経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策を読んでいるのだけど、これはすごい本だ。今年、大学生になったお子さんがいる保護者のみなさまは、誕生日のお祝いにこの本を買って贈ることを推奨する。もちろん、自分も読むべき。

第1部3章「アジア通貨危機を悪化させた政策」の項を読むと、今ニュースになっているアジアインフラ銀行(AIIB)に人気が集まる理由がわかる。アジア通貨危機のときのIMFのひどいことこの上ない。この章を読んで初めて、マレーシアとインドネシアはどちらも似たような国なのにマレーシアの方が経済発展が進んでいるのかが分かった。そりゃ、インドネシアIMF系のアジア開発銀行は別の仕組みに賛成するよね。タイの「売春ツアー」の話も、その遠因がアジア通貨危機&緊縮財政によるセーフティネット破壊だったみたいで、すっごく寒い気持ちになる。

そして、ウクライナギリシャに緊縮財政を要請するIMF

経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策の第1部2章「ソ連崩壊後の死亡率急上昇」で、ソ連崩壊後働きざかりの男性が100万人ほど死んでいるというのはぞっとした。理由は失業に起因するアルコールへの逃避、しかも、酒がなければ接着剤を飲め!殺虫剤も酔える!おそロシアなソ連酒事情 ソ連カルチャーカルチャー2まとめででてくるオーデコロンという代替酒が致命的に命を奪う原因になっていたとのこと。ウクライナがどれくらいソ連文化圏と同じ飲酒傾向があるのかわからないけど再び怖い事例が蓄積される可能性が。ギリシャについてはこれから読む第3部で悪い例として説明される様子。

東日本大震災前に一時期ネットで見た主流メディアは報道しないが、既に、アイスランドで無血革命が進行している!の結末をこの本の第2部1章「サブプライム問題による世界不況に学ぶ(アイスランドの危機克服の顛末)」で知るとは思わなかった。

今、金融緩和で日本経済が復活基調にあるけど、一方で、社会保障(この本では広範に考えて社会保護と言っている)を削っている。この削っているのが結局、経済成長の足引っ張るのではないかと本を読みながら危惧している。

とりあえず、書かずにいられなかったのでメモ。