非専門家は、できるかぎり技術的な実現手段については専門家に任せることにして、自分は何をしたいのか、あるいは、どういう状態にしたいのかを平易な言葉で率直にかつ簡潔に述べるようにしたほうが良いと思う。そうでないと、技術的な枝葉末節を専門家にいじられて自分が何を求めて主張していたのかを忘れてしまう。
常日頃からこう思っていたけど、勝間さんの「まず、デフレを止めよう」キャンペーンに端を発したエントリー群につくコメントを読んでいて特にそう思った。私のようなマクロ経済学の素人がこの話に関していろいろとコメントしたいならば自分は何を求めて、現状をどのように認識しているのかから始めるべき。
- 池田信夫 blogへのリアクション
この議論に絡む際のチェックポイント(インフレーション、デフレーション、インフレターゲット政策の定義は岩田規久男:「景気ってなんだろう」にしたがっている)。
- 1. 現在の日本は好況期と思うか不況期と思うか?
- 2. 現在の日本はインフレーション(物価が持続的に上がっている状況)なのかデフレーション(物価が持続的に下がっている状況)なのか?
- 3. 現在の状況が不況期として、不況期から脱するべきか否か?
- 4. 現在が不況期かつデフレーションであるとして
- 7. インフレターゲット政策でインフレ率(消費者物価の上昇率)が制御できるとして
- 8. 今の日本において、インフレターゲット政策は技術的にどのように実施するのか?
ブログや本を読む限り、池田信夫さん、田中秀臣さん、飯田泰之さん、矢野さん、岩田規久男さんは4の論点までは同じ意見であると思う。すなわち、現在の日本は不況期かつデフレーションであり、デフレーション脱却は不況期脱却の一手法であるというところ。
5以降の論点が異なっており、池田さんはインフレーションを人為的に起こすことができるけど、インフレターゲット政策ではインフレーションをコントロールできないので、デフレーション脱却(のみ)に使えない。田中さん、飯田さん、矢野さん、岩田さんは6番まで同じ意見。すなわち、インフレーションは人為的に起こせ、かつ、インフレターゲット政策でインフレ率はコントロールできる。それゆえにデフレーション脱却はインフレターゲット政策を用いることで行える。
7番以降は田中さん、飯田さん、矢野さん、岩田さんの間でも意見の差があると思われるが、私が読んだ新書レベルの本やブログではそこまでつっこんだ技術的な話は載っていない(正直なところ、私も興味ない。それこそ専門家に任せたいところ)。
- 参考:
- 田中秀臣, 雇用大崩壊―失業率10%時代の到来
- 岩田 規久男, 景気ってなんだろう、世界同時不況、日本銀行は信用できるか
- 芹沢 一也, 荻上 チキ 編, 経済成長って何で必要なんだろう?
- この金融政策が日本経済を救う
- Economics Lovers Live:田中秀臣さんのブログ
- こら!たまには研究しろ!!:飯田泰之さんのブログ
- 池田信夫Blog:池田信夫さんのブログ
- ハリ・セルダンになりたくて:矢野さんのブログ
- YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page:クルーグマン教授の論文の日本語訳が公開されている