主張の穴をつけ。主張自体を封じ込めるな!

海部美知さんは、いつも面白いエントリーをかいてくれるので大好きだけど、今回のもとても面白い。コメントやはてなブックマークで「自分の子供の体験談から国家の枠まで広げて考えるなんて!」みたいな意見がでているけれども、自分の体験談から始まらない主張なんてこの世にはないのでそんな声は無視して良い。主張をするのと自分の主張を他人に納得させるのは別の次元の話。主張に納得できないならば主張の穴を指摘すればよく、主張すること自体を止めさせるような発言はするべきでない。

議論や話し合いは「主張」がまずあり、その後、その「主張」の妥当性や適切性、さまざまな条件とのトレードオフについて検討していくのが常道。「主張」がはっきりしなければ、議論や話し合いはできない。

たとえば、kikulogのkikulog:血液型と性格では、キクマコ先生とABOFANさんのやりとりで以下のようにコメントしている(長いけれども、キクマコ先生のコメントだけを読んでいくだけでもとても議論の勉強になる。オススメ)

ABOFANさんは、自分の立場を明らかにせずに、まず相手に条件を言わせるという戦略で議論をするのがお好きなようです。
しかし、ここでの他のみなさんのコメントもお読みいただければわかるとおり、自分の意見を明らかにしないかたとは議論できませんよ。

科学のルールはこうです。
定説に反する主張をする側が立証責任を負う。
当然、「主張」の中身が明らかになっていなくてはなりません。僕にはこれまでのABOFANさんの主張が「一貫していなかった」と思えますので、それでは議論になりません。

まともに議論を行なおうとならば、どんなでたらめでどんな穴だらけであろうと「主張」がなければ、議論にすらならない。逆に言えば、「主張」とは議論においてそれほど重要なものなので、他者と相互的なやりとりの中で物事を成し遂げようとする人にとっては、「主張」を述べられるのと「主張」を述べられないのでは天と地ぐらいの差があると考えても良いぐらい。

ブログは、万人が読めるものなのでパブリックなものであるけれども、学会やビジネスシーンに比べればプライベート寄りの発表媒体。穴だらけでも面白い主張ならガンガン発表して、ガンガン穴をつっついていけば読んでいる方としてもとても勉強になって楽しい。なので、主張させないように空気を強制するのは勘弁してほしい。

海部さんのようにアメリカでお母さんをしており、かつ、仕事もされている方がいろいろなことをどのようにとらえて、どのような考えを持っているのかを知ることができるのはとても貴重でありがたいことなので、ぜひ、今後もいろいろな主張をして読者に刺激を与えてほしい。特に発達障害の話はとても素晴らしい情報なので必読。メカニズムが分かっていない事柄に関する体験談を盲目的に信じるのは良くないが、たくさんの事例や考え方が存在することを知っておくのは絶対に悪くないし、そういう事例が集まって新たな科学的知見が得られる可能性もあるので、このような情報提供は本当に素晴らしいと思う。