出社が楽しい経済学

NHK総合で土曜日の23時から放映している出社が楽しい経済学をテキストにしたもの出社が楽しい経済学を読んだ。

この番組を見始めた理由は極東ブログで紹介されていたから。

この番組(本)では、12個の経済用語が紹介されている。

このエントリーを書いている時点では、割引現在価格まで放送中。来週が最終回。監修の吉本佳生氏が前書きで述べているとおり、この本は経済学の素人であったNHKの番組制作班が勉強しながら作ったものであるので、同様に素人である私にも分かりやすい構成になっている。

各キーワードは以下の構成で紹介される。

  1. 会社や日常生活で見られるありがちな状況におけるQ & A
  2. 用語の紹介とその用語が何を意味しているのかの説明
  3. 吉本氏による用語の解説と関連話題、注意しなければならない点
  4. 担当ディレクターのコラム

先にQ & Aで考えさせるため、その後の概念の説明が結構すんなり頭に入ってくる。また、概念の説明の部分も具体的な事例をふんだんに取り入れてわかりやすくしている。数式も割引現在価格の説明以外はでてこないし。

私が特に面白いと思った概念は「比較優位」と「逆選択」。「機会費用」「インセンティブ」「モラルハザード」「囚人のジレンマ」「共有地の悲劇」「割引現在価格」という言葉と概念は、別の本で既に知っていた。「裁定」と「ネットワーク外部性」は用語としては知らなかったが、概念は知っていた。

比較優位」については、ちょうど良い経済学 悪い経済学を読んで、度肝を抜かれていたところだったので、この番組と本でよく復習できてよかった。比較優位という概念は本当に我々を勇気付けてくれる概念だ。「逆選択」については、「悪貨が良貨を駆逐する」ということわざが理論として成り立っているというのを知って、人類というか科学というか、知識の蓄積ってすごいんだなぁと思わされた回だった。

最近は、楽しみの一貫として経済学系の本(教科書的な本ではなくあくまでも読み物としての経済学系の本)を読んでいるのだけど、経済学というのは本当に計測と観測の学問であり、金儲けを考えるだけの学問ではないのだなぁとしみじみ。こういうことに高校生ぐらいで気が付いていたら、経済学部に進学したなぁ。

人間世界のさまざまな事柄をどうやって計測するか観測するか考え、計測し、それを説明付けるモデル・理論を検討する。カッコいいといわざるを得ない。まあ、計算機科学や情報工学は、経済学や自然科学がモデル化し、理論付けた事柄を、計算機を使って人類のお役に立ててみせるという点で十分かっこよくて、役に立つ学問なのでそれの端っこにでもいられる身は悪くないけれども。

大学行政とか、日本の政治とか経済学的計測・観測手法を使ってバシバシ分析する人達が出てこないかなぁ。できれば、やばい経済学のように読み物形式で出版してくれるとうれしいんだけどなぁ。