BS マンガ夜話:「よつばと」視聴記

BS マンガ夜話の「よつばと」の回を見た。非常に面白かった。

特におもしろかったのがゲストの宮地真緒さんの「このマンガにはモノローグやナレーションがない」という指摘。言われてみればそのとおり。岡田斗司夫さんが「このマンガを語るのは難しい。読者がどのようにも意味づけられるから、読者がこう読むというのは言えない」という主旨の発言をしていたのも「モノローグやナレーションがない」ということに関連しているだろう。

モノローグやナレーションがなく、登場人物の心の動きが台詞や動作からしかわからないというのは現実世界のコミュニケーションに近い。よつばとを読むのは、ナレーションなしでとったホームビデオを見ているのに近いように思う。もちろん、コマ割りやどの絵を読者に見せるかを作者が計算して見せているのだから、ある一定の方向に意味づけが誘導されるのだろう(その技法が夏目の目で解説されていた)。

あと、夏目の目で取り上げられていた5巻のカバーとカバーをはずした表紙の違いが怖すぎる。カバーをはずすことなんてなかったからあんな意味づけされるとよつばとを読むのが切なくなってしまう。いしかわじゅんさんの「鼻の穴がないのは人間でない証拠」、大月さんの「よつばなんて鼻すらない」、岡田さんの「よつばは良くできた記号」という流れは、せつなさ倍増な展開。その後のよつばと深読み展開(家族が共感できなくなって世代への深読みマンガ、よつばペット説、友達親子を増やすのでは)は読みすぎ。何についてもそうだけど、読もうと思えば何でも読み取れる。なんせ、聖書からこの世の全ての出来事をアナグラムで読み取ることが可能なので。

ラストの宮地真緒さんの「私の友達は萌え絵なので最初は躊躇するのですけど、読んでみたら面白かったって言っています」というオチが面白かった。

ある作品について大人がああでもない、こうでもないと真剣に話し合っているのをみるのは実に楽しい。そんな一時間でした。それにしても、NHKは6チャンネル(総合、教育1、教育2、BS1、BS2、BSハイビジョン)ももっているんだから、BSマンガ夜話を再放送して欲しい。今回、第35弾だったのを知ってびっくりしたよ。そんなやっとんの?