非コミュな人が大学院進学しちゃったらどうしたらよいか

20代の好奇心とか性欲とかがピークを迎える時期に都合6年間(卒業研究+修士課程+博士課程)もこういう準ひきこもりな生活をしていたのは長い目で見てもきっと悪影響が残ることでしょう。だから非コミュの人はよく考えた方がいいです。

こっちのエントリーが本当は書きたかった(前振りに3時間ぐらいかけてしまった)。「非コミュ=友達を作るのが苦手な人」と定義したときには、確かに大学院修士課程進学は悪影響を及ぼす可能性があるかもしれない。なぜならば、社会人となった大学時代の友達と遊ぼうとするとき

  • 自分は時間はあるけど金がない
  • 相手は金があるけど時間がない

という状況に陥るため、今までの友達と遊ぶ機会が減る可能性があるから。

一方で、友達を新たにつくるチャンスは十分ある。なんせ「時間がある」ので。けれども、友達を作るのが苦手な人は、時間があっても友達をつくる機会を持たないというのが問題なんだと思う。自分もそうだったので。けれども、社会に出た後に求められるコミュニケーション能力というのは友達を作る能力でなく、相手に嫌われないで意思の疎通をする能力じゃなかろうか。(さらにその上のレベルとして、嫌いな相手とも意思の疎通をする能力があるけど)

けれども、ハードルを「友達をつくる」から「相手に嫌われないで意思の疎通をする」に下げた場合でも、やっぱり大学院進学は不利かも知れない。会社と違って、強制的に他人と意思の疎通を図らなければならない機会が少ないというのが不利なポイント。研究室は指導教員の方針によっては、他人と意思の疎通を図らなくても修了できちゃうことがあるのが困った話。そういう研究室に配属されちゃうと「相手に嫌われないで意思の疎通をする」能力が磨けなくて困っちゃう。

「相手に嫌われないで意思の疎通をする」能力の基本ラインは何かといえば、

  • 礼儀正しいこと
  • 挨拶ができること

の2点だと思う。

他人と意思の疎通を図る最も簡単な方法は礼儀正しくすること。礼儀というのは、ある文化や慣習における他者との意思疎通のやり方についての取り決め、すなわち通信プロトコルなのでこれにしたがっている人をいきなり攻撃してくるやつはほとんどいない(そういう奴は無法者、無礼者と言われてその文化や慣習の外にけりだされる)。なので、その国や地方の礼儀をとりあえず習得しておけば、無難に対処できる。

挨拶も他人に対して友好の意思(攻撃しない意思)を伝える方法なので、これを習慣にしてしまえば他人との意思の疎通がやりやすくなる。挨拶なんて、心がこもっているかどうかは関係なく、重要なのは頻度だけ。「知っている人がいた」→「挨拶する」→「別れる」という一連の動作を機械的に行なえばよい。非常に簡単。笑顔つきなら、なおよし。

礼儀正しくて挨拶もできる人は、たとえ面白くない人だとしても、人間として嫌われることはない。興味をもたれないだけ。マイナスの印象がなければ、いつか面白くおしゃべりできたり、何かを一緒に作り上げたりしたときに興味を持ってもらえるわけだから、とりあえずのコミュニケーション能力としてはOK。

実際に意思の疎通を図り、何か仕事を進めなければならない状況に落ちいったときには、話す目的と行動の目的は、はっきりしているので、後は度胸の問題。そのときだけがんばれば良いので「友達をつくる」に比べればたいした能力はいらない。

じゃあ、具体的にどうしたらよいのかといえば、

  1. 挨拶する習慣を大学院修士課程の間に見につける
  2. 礼儀正しい受け答えを普段から心がけて習慣にする
  3. 強制的に他人と意思の疎通をはからなければならない立場・状態に自分を放り込む

が非常にハードルが低いけど適当な方法だと思う。

挨拶する習慣を身に着けるには、繰り返し挨拶をしてみるしかない。ただし、挨拶したときに無視されると心が萎えるので、まずは安全なところから挨拶したらよい。それは、お店の定員さん。特にコンビニやスーパーの定員、駅員、自転車置き場の管理人、図書館の司書など多くの人と接する客商売の人がお勧め。理由は、彼らの接する多くの客は、挨拶してくれないので、挨拶する人に対して好意をもってくれやすいから。スタートは、何かしてもらったときに「ありがとう」を付け加えるところから。おつりをもらったとき、商品を渡してもらったときなど。まあ、これ挨拶じゃないけど。他人と声を掛け合うという点では、拒否される気遣いが少ないのでお勧め。

次は、いよいよ挨拶。一人暮らししているならば、同じアパート・マンションの人間との挨拶からスタート。学生のみなさんにとって、同じアパート・マンションの人間と会う確率は低い(活動時間が違う)。なので、負担は少ない。その一方で、何度でも会えるのでチャレンジのチャンスは多い。しかも、心理的に挨拶対象が限定されているのでやりやすい。「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」だけでよい。仮に同じアパートやマンションの住人でなくても、相手が驚くだけで、こちらに被害はない。家族と同居している場合には、家族と挨拶が一番楽。

以後、指導教員、研究室のメンバー、専攻の先生、同じ建物の大学院生と挨拶対象を伸ばしていけばだいたい習慣になっていると思う。

礼儀の練習は、年上の人とおしゃべりしたりするのが楽。バイトも良い。特に年上に関していえば、60代より上は基本的に優しいのでお勧め。礼儀正しく誠実に接していようとしていれば何とかなるというか向こうが察してくれる。あとは、研究室の後輩や先輩と積極的に絡んでみるのも礼儀を鍛えるのに良い。たぶん、後輩の指導などを始めると相手の礼儀正しくない点に気がつき頭にくることが多々あると思う。そしたら、それを自分に反映させて直せばよい。普段から比較的礼儀正しい言葉遣いをしておくと緊張したときも何とかなる。

そして、強制的に他人と意思の疎通をはからなければならない立場・状態に自分を放り込むようにしてみる。たとえば、研究室の幹事になるとか、後輩の指導をするとか、研究会や国内・国際会議で発表してみるとか、サークルに入って役職をつとめるとか。最初だけ自発行為で、以後は状況に流されて他人と意思の疎通をはからなければならない状況に陥ればしめたもの。勝手に能力が鍛えられる。

あと、自分の行動パターンを期間限定で変えてみるというのもよい。自分は誰かに誘われたときに拒否から答えていないかかどうかをチェックしてみる。誘われたときに「ごめん」や「いや、」から入る口癖のは要注意。行動パターンによって人見知りが加速している可能性がある。そういう場合は、期間限定で犯罪行為でなければ何でもYesと言ってみるのがお勧め。期間限定ならば気持ちが楽なのでYesといいやすい。

まとめると、「非コミュ=友達をつくるのが苦手」という人は、「友達をつくる」を目標とせず、とりあえず「他人と意思の疎通を図る」を目標として、その能力を衰えさせない、あるいは鍛えるのを大学院在籍時には心がけたらよいと思う。そのためには、挨拶を習慣化し、普段から礼儀正しく振舞うよう心がけ、たまに、他人と意思の疎通をはからなければならない状況に自分を放り込むようにしたら良い。って、結局「準ひきこもりになるな」ということなので、引用したエントリーの反論になっていないなぁ。

なお、もしお酒が飲めるのであれば専攻のお酒が好きな先生(酔っ払うのが好きな先生ではないので注意!)と仲良くなっておくと人脈が急激に広がるのでお勧め。酒の席での会話には責任を取る必要がないので(どうせ、酔っ払いしかいないので)会話の練習にもってこいです。最悪、とうとうとおしゃべりを始める人間に相槌をうっておけば場が持つので。おいしいお酒好きの人は他人に飲ませない(他人に飲ますなら自分が飲む)のでアルハラ対策としても良い。