民進党には投票できない

3/30のTBSラジオ Session 22の岡田党首へのインタビューを聞いて、岡田さんは良い人なんだろうとは思うけど、この人が党首の民進党には投票できないと思った。羹にこりて膾を吹くのことわざを全開で実行している感がある。

www.tbsradio.jp


来週の火曜日(4/5)ぐらいまでポッドキャストで聞けるのでぜひ聞いてほしい。私の覚書は以下のとおり

  • 民主党政権時に有権者に失望された原因は、財源がなくてできもしない政策をかかげて政権をとり、政権奪取後にかかげた政策を実現できなかった(こども手当てなど)から
  • 上記の反省を生かして、財源の範囲で政策を進めていく
  • 消費税増税延期や凍結、減税という政策をとれば選挙に有利だが、国の財政状況を考えると選挙に有利だからという理由でそのような戦術を採用するのは良くない。少なくとも私(岡田さん)はしない。
  • 財政再建が将来世代への義務
  • 現在の経済状況をみるかぎり消費税を増税すべきではないとは思うが、いつかあげなければならない。

以下の抗議文で抗議している内容を岡田さんが主張しているように思う。

官僚ならば財源の範囲で最適化を考えるというのはとても重要だと思うけど、立法ができて、行政の長も出すことができる議員内閣制の国の政治家としては現状の追認の下での最適化しか考えないならば絶対に暗い未来しかない。高校生と話したときに7割の高校生が国の財政状況を考えると消費税あげるべきだと考えているというエピソードだして、自分の主張の補強にするところなんて本当に暗い気持ちがわいた。そりゃNHKが「日本国債は暴落する」なんて番組つくっているわけなので高校生もそうだなとおもうでしょ。(( #nhk ) NHKスペシャル「日本国債」みなさまの感想)。

消費税を増税すべきといっている海外のエコノミストですら国債暴落には賭けないといっているのに。こちらの方の増税の理路は、投資家心理により株価下がるから増税するべきと言っている。これは日銀が期待インフレ率をあげるための方法としてマイナス金利や量的緩和をしているのと同様な話で、透明性と説明能力と信頼をあげれば「今、この時期に」消費税増税する理由にはならないはず。

為替相場についても、同じことがいえます。米国連邦準備制度理事会(FRB)と日銀は、日米両国の量的緩和は為替相場に影響を与えず、為替操作にあたらないとの見解を示すことで、事実上の協力を行いました。前FRB議長のベン・バーナンキは、何度も明言しています。別に利他主義に基づく発言ではありません。日銀、イングランド銀行、FRB、そしてある意味で中国人民銀行も基本的に同じスタンスです。為替相場の観点においてアベノミクスは絶大な支持を得ています。

これに対して市場関係者の見解は、はるかに複雑です。私が話を聞いた大手ヘッジファンド・債券投資家たちは、非常に複雑な感想をもらしました。彼らは、日経平均株価はまだ上昇の余地があるとして、今年初頭から強気でした。また日銀の政策にも同調していますが、日本の債務持続可能性への不安を強めています。これは専門的な問題です。日本の政府債務に全く懸念を抱かないわけにはいきませんが、他方でリスクを過大評価する傾向も見られます。ヘッジファンドはこれまで何度も、金利上昇で利鞘を得るポジションをとり、日本国債の空売りを仕掛ける中で、多額の損失を被ってきました。私はヘッジファンドに繰り返し、日本国債に逆張りしないよう忠告してきました。

しかし、皆さんの力を借りて、日本の政治家に次の事実を伝えられればと思います。日本国債市場における海外投資家の影響力は、日銀の大量購入や他の制度的な要因から、さほど大きくないとはいえ、日本の株価と円に対しては極めて大きな影響力をもっています。多くの投資家の心理を踏まえると、国会が今秋、消費税の再増税を延期するか、または法案が否決された場合、海外投資家は嫌気がするでしょう。投資家は不当で馬鹿げた反応をすることがありますが、この件に関しては、私も投資家に同感です。政府が、ゆっくりと着実に増税する路線を今後も継続しなければ、リスクの増大とみなされ、政府の実行力は批判にさらされるでしょう。多くの海外投資家は、国民の支持を得た安倍政権が金融緩和政策下で増税を実行できないなら、増税は決して実現しないと考えています。国会で決められなければ、今年後半に株式市場と円相場に悪影響が生じるおそれがあります。

アダム・S・ポーゼン:アメリカから見たアベノミクスより)

理屈は賛成できないけど民主党時代にこうしているそうなので「今の」消費税増税は止めてほしい。景気の加熱を抑えるタイミングで増税すればいいじゃない。

あと、金融政策への反対も止めてほしい。国際経済金融分析会合に出席し増税に賛成しているジョルゲンソンさんも金融政策は賛成している。

ジョルゲンソン教授は、1985年のプラザ合意後の過度な円高が日本企業の競争力を阻害してきたとし「日銀の金融政策は間違い続けてきた」と批判。一方、黒田東彦日銀総裁の下での大規模金融緩和で「ドル円は、もちろん多少の上下はあるものの、購買力平価の水準となった」とし、円高は解消済みとの見解を強調した。

ロイター通信:円高による競争力阻害は解消、生産性回復が急務=ジョルゲンソン教授より)

上のポーゼンさんも金融政策は賛成

為替相場についても、同じことがいえます。米国連邦準備制度理事会(FRB)と日銀は、日米両国の量的緩和は為替相場に影響を与えず、為替操作にあたらないとの見解を示すことで、事実上の協力を行いました。前FRB議長のベン・バーナンキは、何度も明言しています。別に利他主義に基づく発言ではありません。日銀、イングランド銀行、FRB、そしてある意味で中国人民銀行も基本的に同じスタンスです。為替相場の観点においてアベノミクスは絶大な支持を得ています。
アダム・S・ポーゼン:アメリカから見たアベノミクスより)

Q:通貨政策の権威として有名でいらっしゃいますが、量的緩和のコストについてどうお考えですか。日本銀行に何か他にアドバイスすることはありますか。

A:量的緩和のコストをめぐる議論がとても盛んで、驚いています。量的緩和はコストを伴うという十分な証拠はなく、これを裏づける理論的根拠の存在すら明確ではありません。たとえば、過去15年ほどの日本の歴史を例にあげて反論できます。さまざま形で量的緩和を行っても、一般に3大コストといわれている、インフレもバブルも、市場機能の崩壊も起こりませんでした。

日銀政策委員会は現在、恵まれた立場にあります。ベン・バーナンキは、計量経済の観点から慎重に検討した結果、データを見る限り、量的緩和は基本的に通貨への影響という点で、通常の金融政策と同等か、少なくともそれに近い効果をあげるようだと明言しました。

過去30年間にわたる、金融政策にかんする学術研究・応用研究の膨大な蓄積が示すように、人々は中央銀行のチープ・トークを信用していません。量的緩和とはつまるところ、何かを犠牲にして何かを手に入れるということです。行動は、言葉よりも雄弁です。フォワード・ガイダンスが話題になりますが、私からみれば、中央銀行総裁のスピーチと大差ありません。

日銀についてですが、多くの政策委員会のメンバーですら、2年間で2%の物価上昇は無理だと考えています。その目標に向けて大きな進歩はあるでしょうし、すでに物価は上昇しています。とはいえ、今後の期待形成や債券価格を含め、持続的な形で物価上昇目標を達成できるかどうかには、今も疑問が残ります。従って、来年の日銀政策委員会の課題は、フォワード・ガイダンスではなく、むしろ追加刺激策を導入するか、あるいは現行路線を維持するかの判断になるでしょう。
アダム・S・ポーゼン:アメリカから見たアベノミクスより)

「逃げられるのに...」を言う前に

そもそも「いつでも辞められるのに辞めずに…」みたいなブラック企業の話が大量にあるのだから。

推定無罪を守らない大学はよろしくない

書こうと思ったらもうかかれていた。でも、重要なので私もエントリーとしておく。

千葉大学は法政経学部があるのだから有罪と決まった後に卒業取り消し(卒業前に放学処分)をするのが適切だと思う。仮に有罪となった場合、その行為自体は在学中に行っていたのだから行為発生時に遡って放学してもよいだろうと思う。

第4条 学生が次の各号のいずれかに該当する行為を行った場合は,放学を命じることができる。

一 性行不良で改善の見込みがないと認められる者
二 正当の理由がなくて出席常でない者
三 本学の秩序を乱し,本学の教育研究活動を妨げる行為を行った場合で,特に悪質と判断された場合
四 学内又は学外において重大な非違行為を行った場合で,特に悪質と判断された場合
五 本学の規則等又は命令に違反する行為を行った場合で,特に悪質と判断された場合
六 その他学生としての本分に著しく反した者

千葉大学学生の懲戒に関する規程より)

関連過去エントリー

追記:有罪判決後に遡って放校は私刑

まあ、言われればそうだな。

保育士の給与の話

はてな匿名ダイアリー:保育園落ちた日本死ね!!!から発した保育所の拡充問題がニュースで話題になっている。で、ふと思い出すと数年前に公営保育所の保育士の給与が高いので保育所が増えないという話が話題になっていたように思う。読み返してみると、公営保育所の保育士の給与が高いのでではなく、保育料が低く固定されているので応能負担ができていないという話だったが、とにかく2009~2010年に一回保育所話は盛り上がっていた。

一方で、2015年の現在は保育士の給与が低いという話がでている。

 「厚生労働省などが保育士の賃金を調べていますが、13年の調査では、保育士の賃金は月額20万7400円。これは公立も私立も含めた統計なので、もっと低い人もいます。全産業の月額平均29万5700円を大きく下回ります。幼稚園教員は21万9600円で、小学校教員は33万1600円です。保育士を教育の職員としてみている国では学校教員との給与格差はありませんが、日本は福祉職なので、格差が大きいと言えます。それに『ただ子どもと遊んでいるだけ』という保育士に対する誤解もあります」

さきほど、大学教員の給与が明らかにの話のエントリーを書く際に厚生労働省:賃金構造基本統計調査を眺めた時にも実際に給与が低いことを確認した。

じゃあ、給与が高いと言われてた2009年の給与はどうだったんだろうと思って調べたのが以下のグラフ。左のY軸は300万円から始まっているので注意。このグラフは厚生労働省:賃金構造基本統計調査の「職種別第2表 職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」より作成している。本来は対照となる職種と比較すべきだったのだけどやり忘れたので割愛。2013年を底に2004年から10年かけて20万円年収が下がっている。一方で、平均年齢は3歳ほど上がっている。通常は年齢あがると給料あがるので給与は相当あがらない(あるいは減額)されているということ。

f:id:next49:20160327181648p:plain

保育士の年齢階級別のボリュームゾーンは35歳ぐらいまでなので、年齢が高い人と一部の保育士はやめずに勤務し続け、若い保育士は一定期間で止めるということで平均年齢がぐんぐんあがっているのではないかと思う。で、その一部の止めない保育士はもしかして非婚化しているじゃなかろうか?


上のグラフの生データは以下の通り。2007年までは65歳上限、2008年からは70歳上限。

2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004
平均年齢(歳) 35.2 35.1 34.9 35.3 34.8 33.8 33.9 33.6 33.1 32.9 32.5 32.5
平均年収(万円) 322.13 314.22 309.12 314.44 320.74 323.11 326.64 320.03 322.4 326.72 326.76 339.51
    ~ 19歳 0 0 0 0 225.72 162.48 0 0 215.52 0 224.08 201.56
 20 ~ 24歳 263.47 257.37 250.29 261.85 250.86 264.19 264.9 252.29 254.18 256.48 258.11 268.43
 25 ~ 29歳 304.68 293.96 289.78 287.07 299.08 303.73 309.62 297.33 308.34 306.87 310.87 321.24
 30 ~ 34歳 312.95 306.29 304.95 314.99 322.45 325.11 328.18 324.43 331 331.55 334.69 351.53
 35 ~ 39歳 334.62 326.92 341.92 320.01 347.14 351.97 343.27 355.74 341.21 356.32 359.61 345.88
 40 ~ 44歳 352.12 351.89 351.02 331.16 351.08 348.89 361.76 371.21 357.42 368.95 381.58 397.62
 45 ~ 49歳 366.13 347.53 338.96 355.95 366.28 357.93 387.47 380.56 385.09 396.24 412.12 420.18
 50 ~ 54歳 373.86 365.35 357.82 378.93 388.12 419.37 393.23 408.65 427.82 437.47 404.56 478.16
 55 ~ 59歳 406.52 409.8 391.96 419.04 440.93 435.71 444.11 432.46 505.29 502.23 497.75 512.82
 60 ~ 64歳 400.73 420.58 422.27 390.24 475.7 400.46 402.37 423.56 431.03 556.6 527.11 557.69
 65 ~ 69歳 478.49 434.24 536.29 461.4 491.51 641.23 580.57 724.28 527.27 538.55 553.13 604.84
 70歳~ 480.84 635.16 544.39 458.28 405.2 737.67 655.47 540.73 0 0 0 0

大学教員の給与が明らかにの話

2014年のエントリーが今話題になっている。国立大学法人の給与は各大学の教育職俸給表で大体わかる。

私立大学まで含めた給与については大学教授、大学准教授、大学講師の給料・年収によると厚生労働省:賃金構造基本統計調査で調べることができるらしい。みてみたところ平成27年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定), 一般労働者, 職種の表に諸手当込み、保険料・税引き前(つまり、支払い総額)の月給と賞与の年額(いわゆるボーナスなど)が記載されている表があった。

「第1表  年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」と「職種別第2表 職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」から年収表を作成した。計算方法は両方の表の「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額」とした。「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」の言葉の定義は賃金構造基本統計調査:用語の解説を参照のこと。

「 企業規模10人以上、大卒以上」は「第1表  年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」の男女計・大学卒・企業規模計(10人以上)のデータを用いている。その他の「自然科学系研究者(男)」「システム・エンジニア(男)」「システム・エンジニア(女)」「 保育士(保母・保父)(女)」「高等学校教員(男)」「大学教授(男)」「大学准教授(男)」は「職種別第2表 職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」よりデータを取ってきている。保育士、高等学校教員、大学教授、大学准教授は男女で給与に差がないだろうと考えて片方で全体を代替させている。

ブログの横幅の問題で「 企業規模10人以上、大卒以上」「システム・エンジニア(男)」「システム・エンジニア(女)」の年齢階級別平均年収。システム・エンジニアで男女間にこんなに差があるとは。平均年齢が男38.8歳、女34.8歳、超過実労働時間が男22時間、女17時間の差が給与の差になっているのだろうと思う。

年齢区分 企業規模10人以上、大卒以上 自然科学系研究者(男) システム・エンジニア(男) システム・エンジニア(女)
全年齢 \704.87 \658.75 \611.10 \494.27
~19歳 \0.00 \197.40 \203.28 \279.34
20~24歳 \320.07 \299.95 \355.07 \334.56
25~29歳 \406.62 \472.27 \493.69 \446.48
30~34歳 \683.89 \488.05 \566.70 \551.74
35~35歳 \614.43 \661.52 \630.39 \546.74
40~44歳 \733.98 \714.20 \687.67 \565.34
45~49歳 \813.21 \833.05 \729.16 \601.60
50~54歳 \908.36 \865.74 \706.98 \584.69
55~59歳 \953.37 \908.02 \746.48 \580.67
60~64歳 \947.62 \635.76 \521.24 \292.11
65~69歳 \917.85 \342.26 \425.38 \0.00
70歳~ \670.00 \1,008.72 \303.24 \0.00


今話題の保育士も並べてみた。こうやってみると、大学へのお金を減額されるときついけど、大学は2010年あたりまでの復帰で良いので残りは未就学児童教育・保育に突っ込んであげてほしいところ。

年齢区分 企業規模10人以上、大卒以上 保育士(保母・保父)(女) 高等学校教員(男) 大学教授(男) 大学准教授(男)
全年齢 \704.87 \322.13 \705.88 \1,099.88 \869.41
~19歳 \0.00 \0.00 \0.00 \0.00 \0.00
20~24歳 \320.07 \263.47 \332.83 \0.00 \0.00
25~29歳 \406.62 \304.68 \441.54 \0.00 \485.27
30~34歳 \683.89 \312.95 \545.44 \589.80 \683.89
35~35歳 \614.43 \334.62 \651.27 \939.46 \752.08
40~44歳 \733.98 \352.12 \772.01 \992.59 \847.17
45~49歳 \813.21 \366.13 \802.09 \1,011.99 \890.44
50~54歳 \908.36 \373.86 \903.45 \1,096.40 \936.44
55~59歳 \953.37 \406.52 \901.96 \1,132.80 \930.58
60~64歳 \947.62 \400.73 \731.87 \1,165.02 \965.86
65~69歳 \917.85 \478.49 \631.97 \1,039.73 \1,061.89
70歳~ \670.00 \480.84 \546.16 \706.87 \0.00

高山佳奈子(京大職組委員長)のブログ:京大の給与明細を公開しますにある年収は、教授45歳のものなので大学教授の年齢階級別平均年収からすると数十万円低い。大卒・企業規模10人以上の年齢階級別平均年収からすると百数十万円高いという給与。