河野太郎議員による国立大学への現役出向者の調査結果

文藝春秋2017年4月号に掲載。同内容がすべてWebで公開されている。


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関連して、私大への天下り。
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私は、これまで「文科省不要論」を唱えてきました。昨今の惨憺たる有様を見るにつけて、その考えをより強くしています。

文科省国立大「現役出向」241人リスト #3 | 文春オンラインより)

これに対して、先日のTBSラジオ Session-22の文科省特集でゲストの辻田真佐憲さんは、これまで教育についてはさまざまな介入が行われてきており、それに対して、文科省がバッファとしての役割を果たしてきた側面もある。このため、文科省の改革の必要性はあるが、廃止してしまうのは介入に対するバッファがなくなるという点で良くないのではないかという主旨の話をしていた。
www.tbsradio.jp

辻田真佐憲さんの本「文部省の研究 「理想の日本人像」を求めた百五十年」のあとがきより一部抜粋。

それはともかく、「理想の日本人象」をめぐる歴史にあって、昨今の文部科学省は、首相官邸の政治主導の陰に隠れがちだ。さきのスキャンダル(next49注:天下り問題のこと)に関連して、自民党の行革推進本部長の河野太郎衆議院議員のように「文部科学省不要論」を唱えるものもでてきている。初等中等教育は地方自治体に、高校は都道府県に移管するというのである。文部省は、歴史上なんども廃止が議論されてきた。その存在はかならずしも盤石ではない。


ただ、「理想の日本人象」をめぐる議論は、しばしばイデオロギーの空中戦に陥る。実際、中曽根臨教審以来、空理空論ばかり集積され、なかなか実行に移されてこなかった。本書でもさんざん述べたように、今後重要なのは理念の「実装」である。


そのためには、人気や空気に流される政治家や、飽きっぽい国民とは別に、安定的かつ中立的に教育に取り組む組織が欠かせない。また、審議会などから振ってくる抽象的なイデオロギーを適切に処理し、現実的な制度に組立て直す役回りも必要だ。それゆえ、政治主導から一定の距離を取った、教育行政機関はこれからもなければならないだろう。

関連
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【本件のポイント】

  • 公共事業を落札する確率は天下りを一人受け入れる毎に平均で0.7ポイント上昇
  • 落札確率は天下り受け入れ直後から上昇し、その後も継続
  • 退職公務員の知見ではなく、天下り受け入れそのものが落札確率の上昇に寄与している

文科省によると、1月1日時点で241人が国立大全86校のうち83校に理事、事務局長などとして出向。同省は「幹部人材を求める大学の要請に応じて派遣している」という。

 同省にとっては「大学の現場で経験を積めば復職後、行政に生かせる」(人事課担当者)という狙いもある。だが出向から戻ってすぐに退職して再就職してしまえば、現場の経験は生かせない。

 出向先と再就職先には偏りもある。

 出向先のほとんどは国立大だ。国家公務員退職手当法の規定で、退職金に関わる勤続期間に国立大は出向期間を算入するが、私立大は原則適用されないためだ。

 04年の国立大学法人化の前は国立大は国の機関で、頻繁に同省本体との間で人事異動があった。同省人事課は「(出向は)制度ではなく慣習」という。
日本経済新聞:文科省から大学の天下り、現役出向が下地 復職翌日に再就職より)

自民党の河野太郎前行革担当相は26日午前の衆院予算委員会で、文部科学省の官僚が国立大学法人に幹部として出向する「現役出向」が241人に上り、そのうち理事が76人を占めるというデータを示し、「大学は文科省の植民地になっているのではないか」と追及した。今月1日(next49注:2017年1月)現在の数字だという。

毎日新聞:大学は文科省の植民地か」自民・河野氏追及より)