図、表、例、式のみに語らせない

学生の論文指導をしていてのメモ。図、表、例、式のみに語らせてはいけない。図や表、例、式で自分が説明したいことはキャプションおよび本文中でしっかりと説明すること。自分が説明したいことを読者に推測させてはいけない。

例えば以下のような図の使い方はダメな例。図4.1が何を示していて、どういう解釈の下で何が分かるのか。分かったことから、主張したいことにどうつながるのかの説明がない。

~の実行結果を図4.1に示す。図4.1で分かるとおり、本提案手法は有効だといえる。

数式は自然言語の曖昧さをなくして、一意に読み取らせるために有用なのだけど

  1. 検討している問題と数式中の変数(パラメータ)との対応の説明がないと誤解を招く
  2. 概要だけをつかみたいとき、プログラムコードからやりたいことを推測するのが面倒であるとおり、数式からやりたいことを推測するのは面倒。先に何を説明するために数式を用いているのかを説明する(対象読者によってどこまで説明するかは変わる)

図や表はそもそも解釈に幅のあるものなので、どこに注目してもらい、何を読み取ってほしいのかを著者がしっかりと明言しないといけない。ただし、読者がその主張どおりに解釈するかどうかは読者の勝手。

また、観測結果そのものとして図をつかう場合(何かの変化を写真などの形式で記録しておく場合)と観測結果の変化や特徴を読者が理解しやすいように図を使う場合(観測データのグラフ化や装置の配置図の提示など)では、図の位置づけが違う。図から何かが分かったのか、分かったことを図の形式で説明したいのかは区別すること。