読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

公平な文章読解の実例:「メロスの全力を検証」

はてなブックマークホッテントリーにあがっていた。ブックマーカーたちはどうやってこういうの見つけるのだろう?それはさておき、まず、一読していただきたい。

非常に感銘を受けた。走れメロスの文章表現を根拠にメロスの移動速度や到達位置を推測しているのだけれども、これは三森ゆりかさんなどが提唱している言語技術で言われている文章読解のやり方そのものだと思う。そして、小学校〜中学校のうちに訓練しておきたいことの一つでもある。

一つの作品は確かにある作家が書いたものであり、その作家の生きた時代や環境の影響を大いに受けていますが、読者はそれらに配慮しつつも、作家になりきって作品を読む必要はないのです。読者は読者がその作品を読む「現在」の視座から自分なりに作品を解釈します。ただし、解釈には責任が伴います。その責任を、読者はテキストの中に根拠を見つけて提示するという形で果たすのです。
外国語で発想するための日本語レッスン p. 108より)

走れメロスの移動速度を検証するというネタ自体が非常におもしろく、結論もおもしろいので賞をもらっているという点もあるだろうけれども、作品の表現と現実世界のさまざまな知識を有機的に結びつけて多くの人が納得できる推測を行うという姿勢は、「作品の表現」を「観察・観測した事実」に置き換えれば、まさに理数教育で培いたい技能を示していると思う。

ちょうど時を同じくして、三森さんの「外国語で発想するための日本語レッスン」の読書感想エントリーがホッテントリーに入っていた。良い本については何度でも話題にあがって多くの人が読むのはとても良いと思う。そして、大学の新入生が言語技術を身につけてくれれば、卒論指導の負担が減ってありがたい。

関連過去エントリー