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完全にアウトだと思う部分と見解の相違&信頼関係構築失敗と思う部分がある。
アカデミック・ハラスメントに対する私の考え
私は助教なので、アカデミック・ハラスメントされる側でもあるし、する側でもあるので非常にもにょもにょしてしまう。でも、ハラスメントはとにかくまずいので、apjさんの以前書いてくださったエントリーの意見に賛成。裁判したほうが教員と学生の双方にとって良いと思っている。うまいこと、大学教員職を続けられるのならば、たぶん1、2回は提訴されることを覚悟しないといけないと思っている。
- Archives:提訴の方が教員にとって安全
- 上記エントリーに関連して
私の感想
The Interviews:院志望です院志望ですが、大学院でのアカハラ・パワハラは本当に存在しますか?具体的な内容を教えてください!が、大学院でのアカハラ・パワハラは本当に存在しますか?具体的な内容を教えてください!から転載、詳細は 東大のアカハラ関係の書類まとめの「1.申し立ての書類」のPDFファイル内にある。
(1)共著者としてふさわしい貢献をまったくしていないにもかかわらず、自分と共著以外で院生が研究を発表することを禁じる。
これは一部の分野では標準的なやり方。指導教員が必ず共著者に入る。比較的、理工系に見られる習慣。私の所属研究室では、指導教員が責任著者(たいてい、一番最後の名前)として入る。理由は以下のとおり。
- 論文の内容に責任をとる
- 上に合わせて、責任をとるので指導をする(例えば、私は自分の名前の入らない論文は学生のものでも指導しない)
- 卒業後の問い合わせ先として機能する
- 研究グループ(研究室)の論文であることの一つの証明(研究費の利用や助成金に対する報告書作成に影響)
文系はこういう習慣がない研究室が多いとのこと。なので、分野の習慣によってこれが不当かどうかが変わると思う。
(2)著者の順番を一方的に決定する。
相談すべき。ただ、PDFの方の理由を見るかぎり(1)の流れの話のように見える。
(3)適切な指導を行えないにもかかわらず自分との共同作業を強制する。その目的のために、英語論文を書くことを禁止したりする(自分が英語論文を指導したくないという理由で)
これ単独だとぎりぎりアウト。PDFの理由と合わせて読むとグレーライン。やりとりによってはコミュニケーションの齟齬にも思える。
私は、構成案をちゃんと作ったあとでないと論文指導をしない(参考:俺様に論文を指導してもらいたければ以下の手順を踏みやがれ!)。なので、PDFの方にある指導教員側からの返信は結構妥当に思える。まあ、いらん皮肉があるとは思うけれども。前段階のやりとりと普段のコミュニケーションによって、評価が変わる批判点。
(4)研究関係の業務が著しく遅い(2ヶ月近くメールの返事がなかったこともある)
(5)その間に仕事を進めると、ないがしろにされたと腹を立てるので、学生が仕事をできない状態に追い込まれる
これ単独だとアウト。PDFの理由と合わせて読むとグレーライン。結婚してから返事が遅くなったというのは一応勘案してあげても良いように思う。まあ、それでも2ヶ月は長いけど。でも、これも前段階のやりとりと普段のコミュニケーションによって評価が変わる。
たとえば、この前段階で信頼関係が崩れていたりすると(再三、指示を無視される。なのに要求だけされ続けるような場合)、教育の観点から、私も2ヶ月まではいかなくても1ヶ月ぐらいは一切反応しないことはある。当然、その間に勝手なことをやっていたら気分は良くない。
(6)勘違いや思い込みに基づいて叱責のメールを送りつける。あるいは、自分で出した指示を忘れて叱責する。弁明しても聞かない。
これ単独だとアウト。PDFの理由と合わせて読むとコミュニケーションの齟齬にも思える。研究費の使用に関わる話はデリケートなので、文書に残して置かないとまずい(教員・学生ともに)。
(7)自分の計画した研究の成果が出ない理由を学生に押し付けて叱責する
(8)これと関係して、自分の研究を手伝わせる際に、実験を実施した後分析をする段階で、結果がでないのはまじめにやる気がないからだ、結果が出るまで分析をやり続けろと執拗に迫り、遠まわしに捏造を指示する(従ったことはありません)。従わないと、熱意が無いなどと言いがかりをつけ、研究環境を制約するなどの嫌がらせをする。
これ単独だとアウト。PDFの理由と合わせて読むと求めてられた「結果」によって話が違う。
(9)議論を理解できなくなったり自分に反対する意見が出たりすると露骨に気分を害し、高圧的な態度に出る
これ単独だとアウト。PDFの理由と合わせて読むとコミュニケーションの齟齬にも思える。
(10)研究テーマを押し付ける。留学生が研究テーマを変更したい旨を申し出ると、今後留学生が受験した場合に不利益をもたらすと脅す。
これ単独だとアウト。PDFの理由と合わせて読むと保留。なぜならば、経緯がわからない。
(11)帰省やアルバイトを禁止するなどプライベートな生活に制約を加える
これ単独だとコミュニケーションの齟齬に思える。PDFの理由と合わせて読むと経緯による。
私の所属研究室も、卒論配属後に学生には「夏休みや冬休みはない。卒業研究や修士研究は自分の卒業・修了のために行っているものであり、君がやらなければ誰も肩代わりしてくれない。なので、『夏休み/冬休みだから休みました。でも、研究は終わりませんでした。』では卒業/修了させられない。」と伝えている。追加で「長期休みをとるならば、ちゃんと卒業研究や修士研究を終わらすことができる証拠を見せて、我々を説得してからにしてほしい。」とも。
いきいき研究室増産プロジェクトFORUM2011のグループディスカッションでも、この話がでて、大体の参加者が同じ意見だった。
(12)不要な高価な物品(大型液晶テレビやデジタルビデオカメラなど)を予算で購入する一方で、プリンタなど必要な備品への予算の支出を拒む
これ単独だとアウトだけど、PDFの理由と合わせて読むと経緯による。不要かそうでないかは文脈によって変わるからなんとも言えない。
(13)気に入らないことがあると、退学させるなどと脅しをかける。また、機器の使用や校費の支出に制約を加えるなどして研究を妨害する
アウト。よっぽど決裂したら思わず言ってしまうかもしれないけど、PDFに書いてあるような理由では決して言ってはいけない。
(14)指導教員の変更を禁じる
アウト。そんな権限はない。
(15)指導教員を変更したり退学したりした学生について、悪質なうわさを流して誹謗中傷する.あるいは学生が不利益になるような働きかけを,変更後の指導教員に対して行う.
これ単独だとアウトだけど、PDFの理由と合わせて読むと経緯による。ケースバイケースの事例が混ざっている。
(16)学生に対して侮蔑的な、または卑猥な言辞を加える
アウト。
(17)適切なフィードバックができないにも関わらず、研究の妨げになるような課題を、膨大な量、課す (一つでも未提出だと留年)
これ単独だと経緯によるだけど、PDFの理由と合わせて読むとアウトだと思う。
(18)一方で科研費が受給できないと、学生が研究をしていないせいだといって叱責する
これ単独だとアウトだけど、PDFの理由と合わせて読むとグレーゾーンよる。でも、私はこういうことはしたくはない。まあ、そもそも科研費とれていないけど。
(19)院生や学部生に対して、院生に研究の相談をしないようにと命令する
これ単独だとアウトだけど、PDFの理由と合わせて読むと経緯による。どういう指示だったのかわからない。
これも、場合によっては適切な指示の可能性もある。というのは、相談されるほうがいっぱいいっぱいのときなどはこういう指示をしたりする。
(20)公刊の見込みの無い個人的な「研究」のために学生に無償で長時間労働させる。または、指導や論文審査など自分の最小限の義務を交換条件に持ち出して労働を強要する。
これはアウト。ただし、一般論としては程度によって変わる。理想的にはこういう作業をする人を研究費で雇えるようにするのが望ましい。
(21)RA給与などを自由に裁量するために銀行口座を開設させ、通帳と印鑑を提出させ、自分の管理下に置くことを強要する。
完全にアウト。アカデミックハラスメントとかそういう問題ではない。証拠があるならばこの一点で研究室はもうおしまい。
(22)研究室を変更した直後,彼の意思を忖度した学生が実験データをPCから勝手に削除するなど,研究に支障の出る重大な行為を行った。
経緯による。というのは、研究室変わったのだから、研究室の物品を使わせてあげる義務はないため。あと、学生が管理しているならば、学生が勝手にやっちゃった可能性もある(私もルーティンワークのつもりで、数度自分のデータを消しちゃったことがある)から経緯による。
(23)自分が主催する以外の研究会に参加することを禁じる
PDFにはない項目。アウト。良く聞くのは自分が主催した研究会に強制的に参加させるという話。そっちの方だとケースバイケース。
これに加えて研究室を変更した学生に対して
(24)“君たちは研究室に悪影響を及ぼしていたのでいなくなってせいせいした”という旨の嫌がらせのメールを送りつけたり、
PDFにはない項目。アウト。
(25)アカハラ委員会の調査に対して、“高君は反抗的で私を無視していたので指導ができなかった”などと僕を中傷する証言をおこなっています。“研究”に奴隷的奉仕だけして指導は受けない献身的な学生なんかいないだろ。
コミュニケーションの齟齬だと思う。この段階に至ってはこういう風に言われるのは致し方ない。
「アカハラ調査結果」に対する感想
以下の通帳と印鑑の話を除けば、上記の申請書からするとこの調査結果になるのもしょうがないかもと思う。
(21)RA給与などを自由に裁量するために銀行口座を開設させ、通帳と印鑑を提出させ、自分の管理下に置くことを強要する。
もう少し、具体的な経緯(第三者が流れを終えるぐらいのもの)と証拠(メールやその当時の日記など)を追加した方が良いと思う。また、某大学のアカハラと、アカハラ防止委員会の対応が酷いらしいのapjさんのコメントのとおりにした方が良いと思う。
当事者なら「保有個人情報の開示請求」ができる。書式があるのでそいつを書いて各大学の事務に出す。一部墨塗りで出てくるが、それなりの情報は得られる。
口で言うだけじゃ、委員会の書類は出てこないので、手続きをとって証拠を残すことが大事。隠しまくるようなら開示せよという請求内容で提訴も可能。
墨塗りでないのを出させるには、訴訟までいかないと無理かも。墨塗り書類を裁判所に突っ込んで、始まってから、裁判所に文書開示命令を出してもらうと法廷には墨塗り無しが出てくるはず。
録音は黙ってやる。バレなきゃいい。メモもしっかりとって記録を残す。最悪民事で争う場合、メモでも証拠として法廷に出せる。
「アカハラ教授が配布した内部文書」について
このエントリーを書こうと思ったのはこれがあったから。というのも、私も似たような文書を新しく配属された学生に配っているので。正直、「これを読むとざっくばらんで内情丸裸に書いており、ここまではっきり言っているならいいんじゃない?」と思ってしまう。
「門外不出」なのも、ぶっちゃけすぎているからなのかなと思うし、関係が悪化していなければそんなに気持ち悪い文書ではないと思う。正直、私が作って配布している文書やこのブログの内容等も「アカハラ宣言」とうけとられているかと思うとすっごく心配。
非常勤講師の制限推奨も、経験則からくる善意の可能性もあるので微妙なラインだと思う。
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言った言わないなどの話がでると教員や学生双方において困ったことになるので、ぜひ、メールや研究ノートを使って、研究指導に関するやりとりは残して置くようにしましょう。