学生教育分経費があるかないかの問題かと

まず、卒業研究、修士研究を指導する場としての研究室やゼミがそんざいするかどうか。次に、大学から卒論生および大学院生1人頭の教育用経費が各研究室主催者に配分されているかどうか。そして、研究室主催者は競争的研究資金を獲得できているかどうか。これらの話がわからないと「〜べき」かどうかわからない。

年間の学生教育(追記:1研究室分。大学院生と学部生の合計20名。教員の研究費含まない)を計算してみるとこんな感じかな。なお、学生の出張費は含んでいない。

物品 単価 回数 合計
専門書1冊 1万円 20冊(1人1冊) 20万円
論文1編 1500円 大学が契約 0円
雑誌別刷り代1編 15万円 2回(平均に均すと) 30万円
国際会議参加費(会議録代込) 6万円 3回(平均に均すと) 18万円
パソコン代1台 6万円 2台(平均に均すと) 12万円
プリンター台(トナーやドラムなど) 6箱(3000枚)  年4本 2.4万円
紙代500枚 1000円 6000枚 0.6万円
-- -- 年間 83万円

実験やるところは上の予算に実験機器や試薬代を上乗せ。国際会議参加費や雑誌別刷りは分野によって非常に変動がある(別刷り代取らない雑誌もあるし、オープンアクセスにするから20万以上かかる場合もある。国際会議は一切いかない分野は雑誌の数が増える)。

アウトプット(雑誌別刷り代、国際会議参加費)がないとしても、学生の教育費(研究室維持費)に30万円ぐらいないと、学生が使う資料の経費を研究室から出すのはきついと思う。

教員によっては、自分の研究をするために年間数十万円持ち出している場合もあるので。2011年度の場合、研究費がなかったので、私は国際会議の参加費&出張費を自費で払った(20万円弱)。

追記:自腹で払うことについて

はてなブックマークのコメントより

  • 研究を始めた頃、ある教授に研究に必要な数百円の経費を自腹で出そうとして厳しく注意されたことがある。ので、自腹で20万出したとかwebに書いちゃうのは全く理解できない。

おっしゃるとおり、研究費を私費でまかなうのは良くないことでした。というのは、「前回、X万円を私費ではらったのだから、今回、余裕がでた研究費Y万円からその分を補填させてもらおう」という公費と私費の区別がつかなくなることがありえますので。

ただ、今回のエントリーがそもそも「学部生の文献複写代金は、学生の自腹ですか?」でしたので、それは研究費があるかないかであり、なければ教員も自腹切りますという例を示したかったので、自分のをエピソードを載せました。なお、私の自腹は、私の所属部署では「私費出張」という制度があり不正な方法ではありません。また、私は平日にいろいろなイベントに参加していますが、明らかに研究に関係あることがら以外は、有休とって参加しています。

さらに、私費で払うかどうかの境目としては「代金を払う対象の直接的な受益者が私であるか否か」で判断しています。研究室の学生が使う本や物品を私が私費で購入するということはしません。