キーワード通報方式

NHK総合ディープピープルのテーマはフライトドクターだった。

ここで紹介されていたのが「キーワード方式」。110番通報において1つでも決められたキーワードがあれば躊躇無くドクターヘリを呼ぶという仕組み。専門的判断が必要だったり、呼び出しの判断ミスにペナルティがある場合にはこの方式が非常に有用だと思う。

活躍の理由はスタッフの積極姿勢と各地の消防との連携プレーだ。救急隊の現場着後に要請を受けるのでなく、「倒れている」「意識がない」など119番の内容で、救急車出動と同時にヘリも飛び立つ「通報キーワード方式」を採用。またヘリには原則2人の医師が乗務。救命治療中の1人を現場に残し、一方の医師がヘリで別の現場に急行するケースも多いという。

深刻度や重要度が全く違うけれども、この方式を学生が教員に質問や相談できないという問題にも応用できるのではないだろうか。質問・相談の相場観(どういう質問や相談ならば教員に相談してよいのか)が見極められない、あるいは、自粛しがちな性格である学生に有効なのではなかろうか。

メリットは学生が迷い、卒業・修了間際になって困ったことになるのを未然に防ぐことができる可能性があるという点。デメリットは、しょうもない質問や相談が増えて、自分の研究時間が削られてしまう可能性がある点。

ドクターヘリにおいては、デメリットが増えることは既に想定ずみらしい。高度救命救急センター スタッフブログ:キャンセル率が低すぎる・・・(群馬県ドクターヘリ4月実績速報付)のエントリーによると

米国外科学会外傷委員会(ACSCOT)のガイドラインでは、アンダートリアージ率を許容できる5〜10%にする為には、オーバートリアージを30〜50%まで上昇させる必要があり、外傷センターでは50%を越えるオーバートリアージが適切であるとされています。

とある。「アンダートリアージ」が重症な人を軽症と見なすことで、「オーバートリアージ」が軽症な人を重症とみなすことらしい。メリットとデメリットは裏表であることがわかる(予断ながら、そもそもこういう基準があることにアメリカの凄みを感じる)。