結果と考察の違い

卒論指導やレポートの採点をしていたらだんだん不安になってきたので研究室にある論文執筆系の本でどう説明されているかを調べた。まとめると以下のとおり。

  • 結果には、実験方法の概略と実験結果、そして、その実験結果を簡単にまとめた説明を書く
  • 考察には、結果の概略と結果に基づいた主張を書く。

以下、引用。

データが持つ情報を短い言葉にまとめることまでを結果の章で行って、以降の論理展開は考察の章で行う。
これから論文を書く若者のために, p.84)

考察の章でかくべきこと

  • 結果の章で示したデータに基づいて、こういうことを明らかにしたという主張を展開する。
  • イントロダクションで提起した問題の解決に向けてどう貢献をしたのかを述べる
  • 考察の最後(あるいは結論の章)で論文の結論を述べる

これから論文を書く若者のために, p.89 表8)

考察の章でかくべきこと
1) 結果の章で示したデータに基づいて、こういうことを明らかにしたという主張を展開する。
2) イントロダクションで提起した問題の解決に向けてどう貢献をしたのかを述べる
3) その問題を解決したことでもたらされる、より一般的な学術的意義を述べる
4) 今後の発展を述べる
5) 結論を述べる
これから論文を書く若者のために 大改訂増補版, p.105 表8)

"結果"は二つの部分からなります。前半部では実権実験の概要を繰り返しますが、そのさい、"材料と方法”ですでに書いた実権実験の細部は省くようにします。実験内容を再度記載することにより、結果の構成が読者にわかりやすくなります。後半部では実験で得られたデータを示します。
スタディスキルズ―卒研・卒論から博士論文まで、研究生活サバイバルガイド, p.115)

”考察”では、あなたが明らかにしたことが研究成果にどのような意義をもつのか、検討します。おもな実験結果を再度、簡単にまとめておきますが、それがどのように解釈されるべきか説明する必要があります。どういう原理が導き出されたり補強されたりしたかを論じるのは良いことですが、実験結果によって直接裏付けられていないないようまで結論を広げてはいけません。考察し、また、この研究がもつ潜在的な重要性についてものべます。
スタディスキルズ―卒研・卒論から博士論文まで、研究生活サバイバルガイド, p.118)

Resultを書くときには、つぎの二つのことを書き忘れないように注意する。第一は、書こうとする結果をもたらした実験方法の概略である。これは、それぞれの結果のラベル(標識)のような役割を果たす。第二は結果そのものである。
学者・技術者のための英語論文の書き方―国際的に通用する論文を書く秘訣, p.35)

科学論文の各sectionには、それぞれに役割があることをもう一度思い出そう。Introductionは書こうとする研究の目的と重要性を伝えるのが役割であり、Methodsは研究で使われた実験材料と実験方法を記述することが役割である。だから、Methodsの中に結果を書いたりはしない。同じようにDiscussionは、Introductionで述べた研究目的に沿って得られた結果の重要性を記述することにより、論文を論理的にまとめる役割をする。だからDiscussionの中では、実験方法について新たに書き足したり、結果について補足したりしない。
〜中略〜
だからResultsでは、実験方法について書き足したりしない。結果の意味することもかかない。
学者・技術者のための英語論文の書き方―国際的に通用する論文を書く秘訣, p.35)

Discussionでは、Introductionで研究する必要があると紹介した研究目的が、自分の行った研究により新たにどの程度進展したかを示す。

Discussionは以下の三点に関する見通しを立てた上で書き始めるとよい。
1) 得られた結果から、研究目的についてどんな結論が引き出せるか
2) 文献などですでに発表されている結果と照らし合わせると、研究目的についてどんな結論が引き出せるか
3) 確立されている理論や原理と照らし合わせると、研究目的についてどんな結論が引き出せるか
学者・技術者のための英語論文の書き方―国際的に通用する論文を書く秘訣, p.40)