日本全国にいる大学教員の数

文部科学省:学校基本調査−平成19年度−高等教育機関 統計表一覧より、全国にいる教授の数(客員や兼任を除く)。

以下の数字を組み合わせて表を作っている。

  • 類型別 学校数
  • 昼夜別 学生数
  • 大学の学部数
  • 職名別 教員数

国立,公立,私立の総計(756校、2,357学部、大学院と学部を含む学生数2,828,708人)

全教員に占める割合(%) 教員数(人/校) 教員数(人/学部)
平成19年度計 167,636 137,113 30,523 100 221.74 71.12
学長 720 667 53 0.43 0.95 --
副学長 729 682 47 0.43 0.96 --
教授 66,785 59,368 7,417 39.84 88.34 28.33
准教授 39,646 32,427 7,219 23.65 52.44 16.82
講師 20,360 14,980 5,380 12.15 26.93 8.64
助教 32,783 25,646 7,137 19.56 43.36 13.91
助手 6,613 3,343 3,270 3.94 8.75 2.81

以上の表より分かること

  • 教員に占める女性の割合が少ない
  • 教授、准教授、講師、助教は実はピラミッド構造になっていない。大学教員で一番多いのは教授
  • 一校当たり222名も教員がいるの!? と思ったけど、1大学3学部とするとそう多くもないか。1学部3学科とすると1学科20人強だし。

国立のみ(87校、439学部、大学院と学部を含む学生数627,402人)

全教員に占める割合(%) 国立大学教員に占める割合(%) 教員数(人/国立大) 教員数(人/学部)
平成19年度計 60,991 53,639 7,352 36.38 100 701.05 138.93
学長 87 85 2 0.05 0.14 1 --
副学長 267 262 5 0.16 0.44 3.07 --
教授 21,861 20,383 1,478 13.04 35.84 251.28 49.8
准教授 17,643 15,504 2,139 10.52 28.93 202.79 40.19
講師 4,884 4,003 881 2.91 8.01 56.14 11.13
助教 15,306 12,911 2,395 9.13 25.1 175.93 34.87
助手 943 491 452 0.56 1.55 10.84 2.15

以上の表より分かること

  • 教員に占める女性の割合が少ない
  • 教授、准教授、講師、助教は実はピラミッド構造になっていない。国立大学教員でも一番多いのは教授。ただし、助教も平均より多い。
  • 一校当たり701名の教員。上の全国平均とは大違い。
  • 国立大学の大学院生の数と学部生の1/4を研究室配属学生と考え、教授、准教授、講師がそれぞれ研究室を持つとすると1研究室配属学生数の平均は (大学院生 153,900人 + (学部生 457,752人 / 4))/(教授 21,861人+准教授 17,643人+講師 4,884人)=6.05人


公立のみ(89校、210学部、大学院と学部を含む学生数 129,592人)

全教員に占める割合(%) 公立大学教員に占める割合(%) 教員数(人/公立大) 教員数(人/学部)
平成19年度計 11,786 8,838 2,948 7.03 100 131.94 56.12
学長 76 64 12 0.05 0.64 0.85 --
副学長 43 38 5 0.03 0.36 0.48 --
教授 4,110 3,450 660 2.45 34.87 46.18 19.57
准教授 3,176 2,420 756 1.89 26.95 35.69 15.12
講師 1,592 1,040 552 0.95 13.51 17.89 7.58
助教 2,319 1,696 623 1.38 19.68 26.06 11.04
助手 470 130 340 0.28 3.99 5.28 2.24

以上の表より分かること

  • 教員に占める女性の割合は国立よりは多い
  • 教授、准教授、講師、助教は実はピラミッド構造になっていない。公立大学教員でも一番多いのは教授。
  • 一校当たり139名の教員。校数では国立大学と同じ程度だけれども、学部数は2分の1、学生数は5分の1、1校当たりの教員数は6分の1。基本的に公立大学は、比較的小規模の大学であることが分かる(数字を見ないでもわかるけど)。
  • 公立大学の大学院生の数と学部生の1/4を研究室配属学生と考え、教授、准教授、講師がそれぞれ研究室を持つとすると1研究室配属学生数の平均は (大学院生 14,471人 + (学部生 111,966人 / 4))/(教授 4,110人+准教授 3,176人+講師 1,592人)=4.42人


私立のみ(580校、1,708学部、大学院と学部を含む学生数 2,071,714人)

全教員に占める割合(%) 私立大学教員に占める割合(%) 教員数(人/私立大) 教員数(人/学部)
平成19年度計 94,859 74,636 20,223 56.59 100 163.55 55.54
学長 557 518 39 0.33 0.59 0.96 --
副学長 419 382 37 0.25 0.44 0.72 --
教授 40,814 35,535 5,279 24.35 43.03 70.37 23.9
准教授 18,827 14,503 4,324 11.23 19.85 32.46 11.02
講師 13,884 9,937 3,947 9.28 14.64 23.94 8.13
助教 15,158 11,039 4,119 9.04 15.98 26.13 8.87
助手 5,200 2,722 2,478 3.1 5.48 8.97 3.04

以上の表より分かること

  • 教員に占める女性の割合は国立よりは多い
  • 教授、准教授、講師、助教は実はピラミッド構造になっていない。私立大学教員でも一番多いのは教授。
  • 一校当たり163名の教員、1校当たりの学生数から考えると国立の2分の1として300人くらいいても良さそうだが、この140人の差が学費と税金の投入量の差になっているのかも。
  • 私立大学の大学院生の数と学部生の1/4を研究室配属学生と考え、教授、准教授、講師がそれぞれ研究室を持つとすると1研究室配属学生数の平均は (大学院生 93,742人 + (学部生 1,944,510人 / 4))/(教授 40,814人+准教授 18,827人+講師 13,884人)=7.89人。でも、私の知っている私立は平均受け持ち人数は卒論生だけで20人強。すっごく差があるなぁ。

3種類の大学のいろいろをまとめるとこうなる

国立 公立 私立
全大学数に占める割合(%) 11.51 11.77 76.72 100
全学生数に占める割合(%) 22.18 4.58 73.24 100
全教員に占める割合(%) 36.38 7.01 56.59 100
全教授に占める割合(%) 32.73 6.15 61.11 100
全准教授に占める割合(%) 44.5 8.01 47.49 100
全講師に占める割合(%) 23.99 7.82 68.19 100
助教に占める割合(%) 46.69 7.07 46.24 100
全助手に占める割合(%) 53.84 3.83 42.33 100
1校平均学生数(人/校) 7,211.52 1,456.09 3,571.92 --
1校平均教員数(人/校) 701.05 132.43 163.55 --
1教員当たりの学生数 10.29 11 21.84 --
1研究室配属学生数(人/教員) 6.05 4.42 7.89 --

大学数も学生数も私立大学が7割以上を占めている。日本の大学卒の7割が私立大卒。日本の学部教育は私立が担っていると考えてよい。
一方で、1教員当たりの学生数では国立と私立で2倍の人数差があるけれども、1研究室配属学生数をみると1.3倍ぐらいの人数差になっている。これは、国立大学は大学院を併設していることが多く、大学院教育を行っているためである。このことから、研究に関しては国立が担っていると考えてよい。(参考:中央教育審議会大学分科会 大学の教員組織の在り方に 関する検討委員会(第1回):諸外国における大学教員及び教官1人当たり学生数

まとめると。ちょっと息抜きのつもりが長々と数字で遊んでしまった。反省。単純平均によるデータ分析なので信用するのもなんだけど、全体の傾向は見えると思う。

追記:年齢と平均給与

文部科学省:平成16年度学校教員統計調査の「年齢別 職名別 性別 本務教員数」より、職位別の平均年齢、最年少、最高齢。今から6年前なので、国立大学の定年がバラバラだと思う。今は、多くの国立大学、公立大学で65歳定年。また、准教授以下は期限付き(多くは5年)になっているのでこれからガンガン若返ると予想される。怖い。

すべての大学 国立 公立 私立
教授 平均 57.2歳(最年少 28歳,最高齢 70歳以上) 平均 55.2歳(最年少 35歳,最高齢 70歳以上) 平均 56.1歳(最年少 36歳,最高齢 70歳以上) 平均 58.5歳(最年少 28歳,最高齢 70歳以上)
助教 平均 45.9歳(最年少 25歳,最高齢 70歳以上) 平均 44.4歳(最年少 25歳,最高齢 66歳) 平均 46.0歳(最年少 30歳,最高齢 65歳) 平均 47.4歳(最年少 27歳,最高齢 70歳以上)
講師 平均 42.5歳(最年少 25歳未満,最高齢 70歳以上) 平均 42.2歳(最年少 26歳,最高齢 70歳以上) 平均 42.2歳(最年少 27歳,最高齢 67歳) 平均 42.6歳(最年少 25歳未満,最高齢 70歳以上)
助手 平均 37.1歳(最年少 25歳未満,最高齢 69歳) 平均 38.1歳(最年少 25歳未満,最高齢 65歳) 平均 37.4歳(最年少 25歳未満,最高齢 65歳) 平均 36.0歳(最年少 25歳未満,最高齢 69歳)

本来は平均ではなく中間値(メディアン)の方が適切だが、メディアンを求めるのが面倒なので割愛。私立の教授と助教授の平均年齢が国立よりも高い理由は、1) 定年が国立よりも高い。2) 国立、公立大学を定年退職した教員を教授や助教授として雇用しているためであると予想される。一方で、国立大学の助手の年齢が高い理由は、いわゆる「万年助手」の存在があるためと思われる。

私立大学の大学教員の平均給与と平均年齢は人事院:平成19年職種別民間給与実態調査の結果より以下のとおり

職位 調査実人数 平均年齢 平均給与月額
教授 2,633 57.1 737,425
准教授 1,949 46.5 586,981
講師 1,383 41.9 522,095
助教 677 37.2 463,162
助手 422 35.5 375,962
(参考)医師 1,688 39.8 948,259
(参考)高学教諭 2,899 44.8 502,982

国立、公立の教員の給与は私立よりも安いのが定説。まあ、実際安い。上記の平成18年職種別民間給与実態調査の結果を見ると教授は、支店長、事務部長、工場長、技術部長の給与レベル。ただし、平均年齢は3〜5歳上。准教授(助教授)は、次長レベル。平均年齢は准教授の方が4歳くらい若い。講師は係長〜課長レベルの給与、平均年齢もほぼ同じ。助手(助教)は、主任レベルの給与、平均年齢もほぼ同じ。

古いけど、国立大学の教員給与は以下のページにある。ただし、諸手当が含まれていないように思う。