「みんなの意見」は案外正しい

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」内で紹介されていたので読んで見た。

予測市場などの話はH-Yamaguchi.netでアカデミ賞予測市場が紹介されていたので知っていたし、ブレーンストーミングなどの話を知っていたので、なんとなく自分の知っている事の確認になる本であろうと思って読んでみるとかなり違っていた。この本では、集団的判断が結構正しいということをいくつもの事例を使って見せてくれている。また、集団的判断がどのようなとき(何故ではない)に間違うものなのかということも同様に多くの事例をもって見せてくれる。このため、雑学的にも面白いし、机上の空論ではないことがわかるので興味がかきたてられる。

特に6章の信頼と資本主義の話、8章の集団的判断から見た科学の発展の理由と陥り易い罠、9章の小さな集団における発言量の話は興味深く、面白かった。要約すると著者の言いたい事を殺してしまうかもしれないので、ぜひ、読む事をお勧めする。

ただし、1つ不満足な点がある。それは、多様性があり、それぞれ独立で、かつ、ローカルな知識により判断を下す集団が存在し、彼らが下した判断を我々が手に入れられるようなとき、どのようにしたら集団的判断を得る事ができるのか?という点について詳しくかかれていない。1章で、ベイズ推論という道具が、各章のところどころで予測市場という同じく道具がでてくるだけなのが不満。

非常にお勧めできる本。