[科学・研究]科学技術予算削減は是か非か?

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を見た。

私も研究者の端くれなので、当然意見はBなのだが、AとCの意見に非常に興味がある。

Aの意見(抜粋)

  • 若手の研究者が、大企業から自由に研究のできる中小企業へ移籍している(編者注:多分、暗黙に研究は国家機関(元国立研究所、元国立大学)でしかできないことではないといっているのだと思う)
  • 大学側が企業から研究資金を自力でとってきている
  • 科学技術が下手に発達すると就職難を増やしてしまう
  • 今ある借金を返さなければ、破産してしまうので、将来のばら色の未来を考えてもしょうがない
  • 科学技術がいくら進んだってろくなことに使われないから
  • 科学技術が進めば新たな危険や脅威が生まれる。現状でよい生活ができているのだからこれ以上危険を増やす必要はない。よって、科学技術の進歩はいらない
  • 現状の予算配分過程に問題がある。一度リセットし、新たな配分システムを作る必要があるので予算削減賛成
  • 博士を大量生産してみたのはいいが、就職先がなく、国の特殊法人ポスドクとして雇って食わしている
  • 特許出願を奨励し、研究者の評価に利用することを強めた結果、役に立たない特許が大量に出願され、しかも現在、出願料は免除している。
  • 大型研究プロジェクトが増えた結果、採択に向け文科省経産省天下り先が増えた
  • まじめにやらせるには予算を絞ることも効果的
  • 外界と接して技術が増やすことができる
  • 公に頼らずに研究はできるはず
  • 貧乏な時代にもノーベル文学賞は出ていることから、予算と優れた科学者の出現の相関は証明できないのではないか
  • 科学予算を減らすから科学技術立国を目指してないとはいえない
  • 設備と資金が豊富にあれば何でも上手くいくものではなく、携わる人の熱意・努力次第であるのではないか
  • 国のお金=自分のお金と勘違いしてる研究者が多すぎる
  • 予算が比較的かからない理論分野に力を入れて理論分野の先端国家を目指すことが現在の日本の財政状況においては最もよいと思う
  • 無駄遣いが多いと思われるので無駄分だけ予算を減らせばよい
  • 科学技術立国より優先なことがある(児童・生徒への教育・安全確保、社会福祉、年金、医療など)
  • 官僚がやっても、自分の知り合いのところに予算を回すだけ
  • 企業によって応用研究に限らず基礎研究も盛んに取り組まれている

Cの意見(抜粋)

  • 文理の区別など本質的でないことで自分たちの能力を限定している国が、科学技術立国などできるわけない
  • 従来は、金持ちがパトロンとなり科学者に研究をやらせていた。このことを思い出し、現代の金持ちたる企業に科学者がプレゼンし、研究資金をとってくるようにすべき
  • 宇宙研究はどうも必要性が分からない
  • 日本の企業が、日本で開発した技術を中国や韓国にリークしているのだから、いくら科学技術立国を目指すといっても無駄(中国や韓国に追いつかれるのは当たり前)
  • 公務員の人員削減の方が急務。科学予算削減は後回しにするべき
  • (編者注:とても簡潔な意見なので抜粋できない。よって丸ごと引用)

どちらも、耳障りの良い言葉だが、実態はどうなのかが、一般人には、分からない事が多い。科学技術立国には、予算さえあればなれるが如き言い方は、どうなのだろう?予算が無いから科学技術立国になれないのか?それよりも、人材を育てるシステムを再構築する方が良いのでは?
一方、財政再建も、じゃあ、どんどん予算を削れば実現するという単純な話なのか?それで、事が済むなら、とうの昔に財政再建は実現してるんじゃ・・?

  • 無駄な事はやめて欲しい:例えば、国内では確実に営業運転の不可能なリニアモーターかーの開発とか
  • 今後は職人的気質をもった人が割を食わないような環境が必要である
  • 国が何をやりたいのかよく理解できない
  • 予算を増やすのではなく、人間を増やす減らすの柔軟なシステムを構築する
  • 科学予算の中身の検証抜きには、判断できない
  • 形式的には良い予算であっても、実質的には無駄な予算があまりに多い
  • 一度減らして無駄を殺ぎ、そこから本当に必要な現場にお金が行き渡るように体制を整えてからまた増額して欲しい
  • 明らかに過剰な予算、例えば何に使われているのか分からない「科学研究費補助金(去年の要求額2196億円)」や、学生が快適なキャンパスライフを送るために使われる「大学等の施設整備(去年の要求額1147億円)」などは、別に減らしても良い
  • そもそも科学予算を減らしたぐらいで、財政再建に役立つのか?
  • お金がなくなったから研究費を減らすとは一貫性がない
  • 科学に使うぐらいなら○○に使えっていう意見もあるだろうが、科学とその他の分野は相互補完の関係にあるので結果的に別な分野の進歩も遅れることになる
  • 科学も財政再建も合理的計画性と未来への普遍的概念がなければ達成できない
  • 「効率が悪い」とか「すぐには結果が出ない」等といった理由で必要なものまで削ったら、“世界のもの笑い”になる
  • 民間では殆ど基礎研究はできません。戦前の理化学研究所のようなのんびりした環境でないと研究はできない
  • 国会議員様の票にならない
  • 何でもかんでも減らせ、いやダメだ、などという議論自体が、現在の経済指標優先の拝金主義社会の病巣を示している

上記の本筋ではないが興味深い意見

  • 理系の研究者が企業内で出世する為には現場から離れて管理職にならないといけない企業の仕組み
  • 科学技術振興を担う企業や財団が民間から起こって、その成果を大手企業が買う、また、どういう科学技術が重要なのかを大手企業の経営者が見極める目を持つということが重要

これらの意見でもっとも感銘を受けたのは二つ

科学に使うぐらいなら○○に使えっていう意見もあるだろうが、科学とその他の分野は相互補完の関係にあるので結果的に別な分野の進歩も遅れることになる

どちらも、耳障りの良い言葉だが、実態はどうなのかが、一般人には、分からない事が多い。科学技術立国には、予算さえあればなれるが如き言い方は、どうなのだろう?予算が無いから科学技術立国になれないのか?それよりも、人材を育てるシステムを再構築する方が良いのでは?
一方、財政再建も、じゃあ、どんどん予算を削れば実現するという単純な話なのか?それで、事が済むなら、とうの昔に財政再建は実現してるんじゃ・・?

一つ目の意見は、まさしくそのとおり。各分野の相関性が重要で、この相関性に欠けているのが「縦割り社会」の欠陥。二つ目の意見もそのとおり。科学技術予算って何のこと?科学研究費補助金のこと?

ここによれば、科学技術関係予算は、年間およそ4兆円予算請求している。
ただし、内訳がさっぱりわからない。

資料:「平成18年度科学技術関係予算編成に向けた取り組みについて」(PDF)
では、内訳は、特別経費が0.7兆円くらい、一般会計が1.7兆円くらい、科学技術振興費が1.5兆円くらい。と書いてあるが、この内訳が載っているページの次には、SABC施策として0.9兆円の内訳が書いてある。科学技術振興費が1.5兆円で、
SABC施策が0.9兆円ということは、残り0.6兆円はどこにいったの?

さらに資料:「平成18年度科学技術関係予算編成に向けた取り組みについて(参考資料)」(PDF)によると、3.8兆円のうち、文部科学省が請求している予算は、全体の63%くらいでおよそ、2.4兆円とある。同じページ資料では、大学に渡される運営費(私立助成金を含むかどうかわからない)が0.9兆円とかいてあるので、この科学技術関係予算には、大学の運営費も含まれていることがわかる。
また、科学研究費補助金もこれらの費用に含まれいる様子(約0.19兆円)

科学技術関係予算の全体像がさっぱりわからない。大学の運営は、科学技術関係予算なの?この疑問への解説が以下にあった。

やはり、大学の運営費もこの予算に入っている様子。私学助成金も含まれいると思われるので、この予算が必ずしも研究者や科学者、技術者だけに使われているのではないと考えられる。

それでは、日本の研究成果は海外に評価されていないのか?というと、分野によってはそうではないらしい。

の31ページ(目次を含めないと25ページ)の1.8「海外の第一線の科学者・研究者からみた日本の強みと弱み」によると、分野によっては評価されているようである。

うーん。いつもどおりまとまらない。

おまけ:

外務省は、人材を文部科学省に貸してください。各国に関する上の資料が必要です。